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秋山瑞人

タイトル評価一言メモ
E.Gコンバット 1〜3うな∈(゚◎゚)∋異常な勢いで突き進むコンバットSFコメディ
猫の地球儀 全二巻うな∈(゚◎゚)∋文体で突っ走るラノベSFの秀作
鉄コミュニケーション 全二巻うな潔すぎる原作無視
イリヤの空、UFOの夏 全四巻うな∈(゚◎゚)∋ボーイミーツガールSFの秀作
ミナミノミナミノうなまず続きを出せ。話はそれからだ





  E.Gコンバット 1〜3  うな∈(゚◎゚)∋

E.G.コンバット (電撃文庫 あ 8-1)
よしみる,秋山 瑞人
メディアワークス


一巻
SF。半シリアス半コメディ。
こりゃたまげた。
原作は『メタルスレイダーグローリー』の☆よしみるなんだが、この原作による設定等は糞。ゴミクズ。もう目も当てられない。
女の子だけの士官学校って、お前なんだそのギャルゲーのようなぬるい設定は。はっきり云って、こんな設定でなんかまともなもの書けって云われても、おれだったら破り捨て投げ捨て原作者を襲撃するね。
それを読めるような形にしただけでもエライ。ノベライズの鑑だ。

生徒五人の内、三人のキャラがいまいち区別がつかないが、それはページ数の問題だろう。
くそうるさい奴らがくそうるさくしている描写がうまい。
バカな奴らのバカげた日常とリアルでシリアスな戦争をギリギリのところでつなげているのもきわどくきまっている。(ところどころ失敗もしているが)

と、べた褒めしているが、別にそんなに好きではない。
が、これは元々この路線がさして好きではないのが原因で、作者のせいではない、と思う。
ただ、SF用語で煙にまきすぎだし、ちょっとごまかしてる部分はあるな。

二巻
今回は相当煙に巻かれた。
なんだこれ? 途中、なにいってるんだかわからねえよ。はいはい、おれがバカなんですよ。
基本的に、コメディ小説では笑わないわしなんだが(ニヤッとすることはある。というかぼくは変態なので声に出して笑うよりもニヤッとすることのほうが多いし、好きだ)、不覚にも二回ほど笑ってしまったので、きっとギャグとしては優秀なのだろう。
キャラ分けもずいぶん明確になってきたし、途中からサスペンス的な、先の展開を故意に想像させるような書き方をしており、それが完全に成功したとは云いがたいが、平易に書かれるよりは面白くはなった。

ただ、物語がどこに着地したいのか、いまいちわからんな。色々詰め込みすぎて、わけがわからなくなっている。
やたらガンパレを思い出したんだが、元ネタの一つ? それともこういった系統のデフォルト作品があるのか? 無知なんでよくわからんだよ。
ところで、なんでSFマニアの方々って、遠心力をコリオリ力って云いたがるの?


三巻。
出だし、懲罰房に入れられるくだりはよかった。よかったというか好みだった。
ひざを抱えてうずくまるだけのスペースしかない独房、超・萌える。
えー、つまり私はマゾですか?

面白かった。
物語の終着点も見えてきたし、本筋をタイトに進めながら、文章に遊びを忘れないのはすごい。
ただ、いまいち戦闘シーンが理解出来ない、というか、敵の姿、自分のメカの姿、どうにも両方理解できないし、イラストにもまともに書かれちゃいない。おかげで脳内戦闘シーンはガンパレだ。遠くはないと思うが。

著作の中で一番萌え小説めいた設定のくせに、一番萌えから遠いところにあるという珍妙な作品。
萌えに限りなく近くて遠い状態ではちっとも泣かず飛ばずの売れない人間であったのが『イリヤの空〜〜』から萌えに特化され、突然売れるようになったあたり、この世の真理を見ると同時に、ほんのわずかに設定をずらし焦点を変えただけで文体も雰囲気も変えることなく見事に萌え小説に変貌させて見せた作者の力量に驚愕せざるを得ない。

マニアに「感動する感動する」云われているが、たしかに感動的なシチュエーションもあり、いいセリフもあるんだが、それがいつも唐突に入ってくる。
だからびっくりするだけで感情につながらない。
もうちょっと感動させようとしてもいいんではないかな。
ただし、この唐突な一文の出現が、ギャグとしては秀逸な効果を得ているので如何ともしがたい
なんにしても、次巻で完結予定なのに、永遠にそれが出ないのはなんとかして欲しい。
ところで、これの話のあとに、メタルスレイダーグローリーが来るらしいのだが、あんなパチモンSFにつながっていいのか? というか、あのゲーム、くそつまらんぜよ。






  猫の地球儀 全二巻  うな∈(゚◎゚)∋

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)
秋山 瑞人
メディアワークス





SF。ライトノベル。
猫が住む世界で、天使たちのいるという天上の世界に臨む反逆者スカイウォーカーとチャンピオンの話。

ネットでやたら評判がいいが、それほどのものかどうか……むう。
設定は詰め込みすぎて意味がわからないところもあるし、かといってストーリー自体は単純な方だし、説明のされていない部分が多いし、造語が多すぎる。どうもライトノベルは造語が好きみたいだな。説明しろっての。

ラストシーンの「海が(空白)」も、栗本薫が「魔都」でやってるしなあ。あっちの方が効果的だった。
最後の最後、ロボットが何年もじっと地球を見上げ続ける場面は、よかった。
ただ、この世界におけるロボットの存在がよくわからん。
あと、戦闘シーンが無駄に多い。 ところどころ、文がワープしても意味がなんとなく分かるのは、ある意味テクだし、センスもあるんだろうな。
いかにもマニア受けしそう、ということで。

でもまあ、嫌いかって云われれば、こういうロマンチストの話は、好きなんですけどね。
でもイラストが激しく勘弁。






  鉄コミュニケーション 全二巻  うな

鉄(くろがね)コミュニケイション〈1〉ハルカとイーヴァ (電撃文庫)
秋山 瑞人,かとう ひでお,たくま 朋正
メディアワークス


SF、全二巻。
最終戦争後の地球、一人生き残った少女と彼女をまもって暮らす五体のロボットの、奇妙なほのぼのとした日常。それの崩壊と蘇生。

なんつうか、評価しにくいのう。
この人のロボット観がわからない。
血を流し涙を流し痛みを感じ恐怖を感じ意識をもち意思をもつ食事をし性交渉の可能なそれは、ロボットなのか?
そこが釈然としなくてなかなか入っていけなかった。

一巻は、微妙だった。狙いが鼻につきすぎている感じ。
が、二巻は、まあまあよかった。
設定明かしが色々あったので、なかなかに殺伐としていて。
ことに四肢を切断され食われ、胴体は性欲を満たす道具とされるくだりは、1ページていどにさらっと流されているが、わりと圧巻。エロゲーくさいがね!

中盤は盛り上がり、ラストの直前はなかなか感動的になっていたが、ラストはあまり感動的でなかった。どうかと思った。(追記・と思ったが、あとで思い返すに当たっていいイメージの残る終わり方ではあった。バランスがもうほんの少し取れていればこのうえなくきまっていたろうに)

しかし、この話、原作つきなんだが、おそらく明らかに原作を(いい意味で)無視してると思う。絶対に。
元々デビューが原つきなわけなんだが、しかしなんだってこういう、文章にクセのある、明らかに変なこだわりのある奴に原つきをやらせる? 
特殊な単語と設定の嵐と、特異な文章に煙に巻かれるが、ストーリー自体はシンプルなもの。かつ、なにも解決していないストーリー。






  イリヤの空、UFOの夏  全四巻  うな∈(゚◎゚)∋

イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
秋山 瑞人
アスキー・メディアワークス





長編シリーズ全四巻。SFライトノベル。

一巻
中学生の浅羽は、夏休み最後の夜思いたって、夜の学校プールに忍びこんだ。
するとそこに、見たこともない不思議な美少女が現れる。
さらに二学期がはじまるとその美少女イリヤが転校してきて、ドタバタがはじまることに……

  という、ドタバタなラブコメそのまんまではあるが、その合間にUFOを絡めたSFっぽいストーリーが入りまじって来る話。
ヒロインのイリヤがあまりにもあざとい綾波系。
そこを受け入れられるのなら。


二巻。
上記にひきつづきボーイミーツガール物、ついでに夏休み物なわけですが、それにしてもホントにイラストはなんとかならんのか。こう、無駄にケツがぷりっと。
なにぶん1巻読んだのがはるか前だからなあ。
いや、わりと面白いよ? こう、ベタですが。
賭けてもいいが、水前寺部長の元ネタは『ななこSOS』の四谷だ。作者SFヲタっぽいし。
いや『究極超人R』の鳥坂先輩もはいっているやもしれぬが。
で、いずれにしても、イラストがおかしすぎる。これじゃただのさわやかスポーツマンだし。なんだこれは。


三巻。
学園祭。鉄板で受ける題材ですな。
そもそもオタクの子達は、実際の学園祭ではなにもしないくせに、どうも学園祭になにか憧憬を持っているらしくて、で描かれ方はいつもすごい騒がしくてカオスでフォークダンスしちゃったりしてそして祭りのあとはちょっと寂しかったりしてもうなんていうかビューティフルドリーマーというか。
いや、面白かったとは思うんですがね。
特にこの作者は、バカなやつらのくだらんバカ騒ぎを書くことに対して、なにか異常に才能があるようで、学園祭のバカ騒ぎ具合は素晴らしい出来だと思いますよ。
ただ、それだけというか……
つうか本筋が二巻三巻とまったく進んでないというか……


最終巻。
ストーリーがやっと進んだ。
というか、話的には一冊でもいけるものだった。
しかしまあ、オチ的に「いかに学園生活をすばらしく見せるか」が作品の肝なので、仕方ないっちゃ仕方ないのか。ラノベであることを考えると、長さ的にはこの位がベストなのかもな。
適度に爽やかで適度にお涙ちょうだいで適度にSFで適度にラブストーリーで適度に笑えて、文句はないんですけどね。ええ。イラスト以外は。
いい話でしたよ。きっと。
この作者はラストの爽やかさでずいぶんと印象を良くしている。
別にさしてハッピーエンドでもないんだけどね。そこはとても上手いしえらい。






  ミナミノミナミノ  うな

ミナミノミナミノ (電撃文庫)
秋山 瑞人
メディアワークス





SF青春ラノベ。
ひょんなことから辺鄙な南の島で夏休みを過ごすことになった主人公が、島の奇妙な風習に翻弄されながらも、持ち前の社交性でなんとか仲良くやっていたら、変なツンデレ少女に出会って、なんか超常現象じみたことを経験して、そうこうしているうちに島の秘密を知ってしまいましたよ。続く。

続くんかい……一巻ってつけろよ……
前作「イリヤの空〜」同様、持ち味を生かしたやけっぱちに騒がしい描写はいいし、キャラのあだ名のつけ方も面白い。 が、前半、ずーっと島の描写がつづだけで、退屈であった。

後半、ヒロインが出張ってきてからやっと面白くなってきたが、ぼやぼやしているうちに、すぐ「続く」となってしまった。
面白いっちゃ面白いんだが、前作と同じノリを狙いすぎてて、ちょっとなんだかなあ、みたいな。

ただまあ、人付き合いの下手な少女が、同行者が追いつくのを待つとき、振り返りもせずピタッと止まって待ちつづける、というのは、なんか萌えそうだから許す。










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