麻生俊平 | 評価 | 一言メモ |
ザンヤルマの剣士 | うな | 長編ラノベ。シンジくんの先駆け |
ノーブルグレイの幻影 ザンヤルマの剣士2 | うな | 長編ラノベ。はやくもワンパタン |
オーキスの救世主 ザンヤルマの剣士3 | うな | 長編ラノベ。オウム事件の前に出ました。 |
フェニックスの微笑 ザンヤルマの剣士4 | うな | 長編ラノベ。特に書くことないぜ! |
フェアリースノウの狩人 ザンヤルマの剣士5 | うな | 長編ラノベ。やっぱり書くことないぜ |
放課後の剣士 ザンヤルマの剣士 | うな | シリーズ番外編。短編集 |
イリーガルの孤影 ザンヤルマの剣士6 | うな | 長編ラノベ。それでも書くことないぜ! |
モノクロームの残映 ザンヤルマの剣士7 | うな | 長編ラノベ。うおりゃあ! 書くことないぜ! |
ファイナルの密使 ザンヤルマの剣士8 | うな | 長編ラノベ。最終篇開始。 |
イェマドの後継者 ザンヤルマの剣士9 | うな | 長編ラノベ。最終巻。人類補完計画でした。 |
根暗の少年・矢神遼は、ある日わけわからない格好している老紳士から変な短剣を渡される。 誰にも抜くことが出来ないというその剣を、遼はあっさりと抜いてしまい、そして意識を失う。 翌日より、遼が意識を失っている間に連続殺人事件が起きはじめたのだが…… 期せずして世界を滅ぼすという力を秘めた古代の遺産「ザンヤルマの剣」の持ち主にされてしまった根暗少年の苦悩と奮闘を描く現代ファンタジー。 主人公のうざさがどう考えても『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジそのものであるが、パクリにあらず、エヴァ前年の1993年からスタートのシリーズだ。 主人公の暗さ以外にもエヴァと通じる所は多々あり、あまりヒットしなかったわりにラノベオタクの間でカルト的人気を誇っている秘密は、その辺りにあるようだ。 また、一巻の場合だと、意識を失っている間に殺人事件が発生し、主人公が自分を疑うという辺りは、1996年に発売され、Leafの出世作となったPCのアダルトゲーム 『痕』も想起させる。もっともこっちは普通にオマージュッたのかもしれないが。 ちなみに乙一が中高生のころファンだったことでも知られている。 なので、その先進性を評価するべきなのかもしれないが、自分が読んだ200ン年にはエヴァ後に無数にあらわれた雨後のタケノコ同様の、よくある鬱系ライトノベルとしか読めなかった。 三巻以下の感想は2002〜04年に読んだ時の感想になる。 (2009/1/3)
シリーズ第三弾。 この人の文章は、ピントの合ってない、というか合いすぎているというか、とにかくいらんとこまで描写している感がある。 あれこれ全部書きすぎて、肝心のなにが書きたいのかがわからない。 そのくせ一番根っこの、渦中にある人間の心情描写はうすっぺらく、各人の抱えている苦しみ、トラウマってもんが、こっちに伝わってこない。描写のズームイン、ズームアウトができていない感じ。 また、わりとパターンにはまって作っているのだが(悪の親玉が今回の敵に秘密道具を渡す→主人公たぶらかされる→そのころ副主人公は敵方の女といちゃいちゃしている→主人公、ヒロインに説教喰らって目覚める→さあ決戦だ→人間って……→欝だ)どうも単に天然でやっているのか、遊びがないのがいけないのか、ワンパターン大好きの小生としてもいただけない。もっと毎回主人公のダメ人間ぶりを見せつけるべきだ。 今作で一番いただけないのは、敵方の女の榊村で、おそらくはハマーン・カーンがモデルだと思うんだが、まあそれはどうでもいいとして、不老不死でありながら、弱みを握られて望まぬ男の子を産まされ、さらにその子との間にまた子供を産まされる、という重いはずの設定が、いっじょうにかるい。 そもそも実質不死身の存在である彼女がどんな弱みを握られているのか書いてないし、自分の子供であり孫である存在に対しどう思っているのかもまったく書いていない。 明治維新の頃から生きている、という設定もまるで意味をなしていない。 きちんと扱えないなら、そんな設定はするべきじゃない。 今作のテーマが「宗教のおそろしさとそれに頼らざるを得ない人間の心の弱さ」ならば、彼女の存在自体はまったくの不要物であったと思える。そんなものに重い設定を与えるな。 内容もたるいが、文章はそれ以上にたるい。 つまらないとは思わないが、なんだっておれはこんなものを読んでいるんだろう、という気にさせる。もっと文章の上手い人にリライトさせて、三分の二くらいの内容にすれば、ちょうどいいと思うんだけどな。 パッとページを開けたときの字面がわりと不快なんだよな。そんなものを読むなといわれればそれまでだが。
四作目。 流し読みをしたせいか、シリーズ中いままでで一番面白く読めたかもしれない。流し読みのほうが面白く読めるっていうのもアレですが。 多重人格物ということをもっと早くから前面にだしたほうが良かったとは思う。 前半と後半で話の主題が変わっている気がする。強引にくっつけた感じ。 作者の持つ安易さ、安っぽさと生真面目さ(換言するとつまらなさ)が拮抗している感じ。 ヒロインの存在がどうにもご都合主義なのはずーっと払拭されず。 ぼこすかに云いながら、なぜか読んでいるのは、最初読むとき、安かったのでめんどいから全部買ってしまったから。
五作目。 単発物のつらなりから、いよいよ大きな物語が動きはじめて、多少好印象。 全体とてしては可もなく不可もなく。 ようやっとメインキャラの顔が見えてきた感じ。 人のトラウマがいつもステロタイプに過ぎるのがネックだな。
シリーズ番外編。 パイロット版の第一話と、その他サブキャラのストーリーなどが載っている。 こうして短編集としてみると、じつにアニメ的。ていうかアニメ。 よくも悪くもアニメ。 皮相的で深みのない、展開のためのトラウマでは、あまり読者の気持ちをとらえられないだろうに。 久々に読み飛ばしてみた。つまり、その程度の作品。 ホントにコレ、傑作シリーズなのか? 普通すぎるし、浅すぎやしないか?
シリーズ六作目。 わりかし普通。 完全に「次巻に続く」なので、これだけではなんとも。 しかし、本当になんでヒロインは主人公に惚れているのか? いまいちよくわからないが、それはデフォルト設定として納得しなきゃいけないのでしょうか? まあそれは良しとして。 一巻のころから、副主役格であるところの氷澄を、どうも作者はひっじょうに気に入っているようなのだが、そのわかりやすい形でのカッコよさは、どちらかというと寒い、どうでもいい方向だ。 作者があまり肩入れしていないのなら流してすむのだが、どうにも作者とこちらの温度差がひっかかる。 まあ、作者が自分のキャラに惚れないでどうするんだ、という気持ちはあるんだが。 どうでもいいが、前から思ってたんだが、イラストの人は、個人的には可もなく不可もなくなんだが、ときどきとても下手になる。 変なはなしかもしれんが、真面目に原作を読みすぎているな、と思う。 デタラメなことを云うが、挿絵を頼まれて、本当に原作のシーンを再現した絵しか描けぬやつは、しょせんそこどまりであろう。
シリーズ七作目。 およそ三冊にわたって続いたエピソードの完結編。 正直なところ、わりと面白かった。 特に後半、いままでの伏線を消化しつつ、ばたばたとキャラが死んだりしていくところは、この作品とは思えぬほど展開がはやくダイナミックで、良かった。 伏線の張り方、消化のしかたは、予想の範囲内で、かといって「やっぱりそうきたな」とニヤニヤするほどではなく、中途半端なんだが、しかしまあ十分に許容範囲だろう。 あと二冊で完結。完結にむけて全体の構想も順調に消化されているようで、キャラの深みも出てきた。うまくまとめてくれていることを祈る。
シリーズ八作目。 うーん、最終編にはいってどうなるかと思えば、あんがいぬるぽ。 最後の敵組織FINALが、なんともぬるぽい。 まあ、非合法ではあるが、あくまで政治団体であるとしているあたりにリアリティはあるといえばあるが、なんというかむにむに。 焦らしに焦らして登場したライバル佐波木が、いまいちなんというかアレなのもまた。 本当にうざいだけでどうでもいい、この人。 まあ、次の最終巻次第ですかね。
シリーズ最終巻。 さて、本編九冊と、外伝的な短編集一冊、あわせて十冊のシリーズを読み終わったわけだが…… ……んんんんんんんんんんんんんんん、びっみょーーーーーーーーーー! なんだこの沸きあがる中途半端感は。 FINALとの戦いは非常にへたれた感じに展開し、三人目の剣士ヒルデもなんだか前面に押しだしたわりには安易なオチ。 戦いのなかでいわば「負の主役」として成長しなければならなかったライバル・佐波木は、べつにさして成長もなにもせず、その行動原理たるやただの「わるい奴はみんな殺してやるぅ。だから世界のみんな殺してやるぅ」であって、ただ正義漢が暴走しているだけだし、そこにいたる心情もじくじくと書かれてはいるがあまり実感に乏しくステロタイプに過ぎる。 シリーズ通しての黒幕、ウラージェロに作者が惚れすぎて、決着がちゅーとはんぱになったのも痛い。 なによりも全編にわたっての謎であった「前文明はなぜ崩壊したのか?世界を滅ぼすザンヤルマの剣とはなんなのか?」が、ひっじょうにへっぼーんなオチであった。 ネタバレであるが 「文明が進みすぎて他者と触れ合うことなくすべての欲望がかなえられるがゆえにみんなHIKIKOMORIとなった世界で、強制的にみんなの心を触れ合わせたらほとんどの人間がアヒャった」 ってどうなのよ、それ? だらだらと長々とつづいたわりに、なぜか最後の100ページくらいがおせおせな感じなのも気になった。 なにより、ヒロインの存在が最後までご都合主義で、とちゅうからラブラブになりつつもラブコメ道奥義・寸止めの術するためだけにいたのかと。 結局、七巻ぐらいで書いてた「ガキのころレイプされたことがあるくさい」ところ以外は、そんなに見所がない。 まあー、なんつーか、十冊呼んだ感想としては、キャラの魅力は薄いが、普通にそれなりにできたライトノベル、といったところでせうか。 文章をかりこむことの大事さを学ばせていただきました。ながけりゃいいってものじゃない。 十冊も読んだら、もっと感動したかったなー、というのが素直な感想。 |