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稲見一良

タイトル評価一言メモ
ダックコールうな男の美学のみで構成された連作短編集





  ダックコール  うな

ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)
稲見 一良
早川書房





連作短編集。第四回山本周五郎賞受賞作品。
ブラッドベリの『刺青の男』に着想を得た、ハードボイルドな文体で語られる鳥にまつわる六つの幻想譚。

長年をかけて製作された広告映画の最後のショットを託されたカメラマンが撮ったものは…… ★『望遠』
19世紀アメリカの片田舎に住む朴訥な青年が遭遇した怪異 ★『パッセンジャー』
癌より生き延びた中年が弟子入りしたのは、川辺で密猟をする10歳の少年だった ★『密漁志願』
ひょんなことから脱走囚狩に巻き込まれた日系二世の青年は戦場帰りだった ★『ホッパーウィル』
漂流する男が出会った、一匹の亀と一匹のグンカンドリが止まる浮木 ★『亀の枕』
鳥の模造品が語る一人の少年の物語 ★『デコイとブンタ』

男である。
初老を迎えた男の語る、男とはかくありうべきという姿が、力強く無駄のない文体で語られている。無駄がないからこそ、文に美しさが宿っている。
まさに男。男の物語。それでいて暴力性はまるで感じない。
全編これらこそ美学。全編これ、男の美学である。
つまり、ぼくには二十年くらい早かったようだ。
男の美学とか、あんまり興味ないねん。

(08/2/6)










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