タイトル | 評価 | 一言メモ |
僕は天使の羽根を踏まない | うな | ひどすぎるMADARA最終章 |
冬の教室 | うな | 大塚先生のキモヲタ気質が怖い |
リヴァイアサン | うな | ★ |
うな | ★ |
タイトルを見た瞬間 「大塚先生はオタクをなめているんじゃないか?」と思い購入。 どうやら108章からなるマダラの最終章であるらしい。 要約すると 「物語とは、報われない子供たちにとってのライナスの毛布であり、それにすがる時期は誰にでもあるかもしれないが、もうやめにしないか?」 という話であり、一言で云えば余計なお世話だとしかいいようがない。 作者自らが作中で評論家の顔を出すんじゃないよ。嫌われるよ。 が、本人もそれを自覚していてわざとやっているんだからタチがわるい。 ただ、悔しいんだが、現実世界と作品世界をオーバーラップさせる手法は感心させられた。 が、これよく考えたらエヴァンゲリオンのテレビ版最終話だな。 あれよりはうまく物語と融合させていたが。 まあ、昔マダラを読んで「全108章ワロスw」した人間の一人として、こんな形でとはいえ、一応けじめをつけたことは評価したい。 ただねえ、これをさ、マダラシリーズの商品価値がなくなった時期にやるという、その商売魂がきもちわるい。 やるんだったら全盛時にやれ。 そしたらエヴァみたいに叩かれるだろうけど、それでいいんだ。それが自然なんだ。 とにかくまあ、いろいろ考えさせられる作品ではあった。 つっても、大塚先生の喚起するところのテーマではなくて、「人に好かれる文章・好かれない文章」というものについてだった。 大塚先生の嫌われる書き方だけはガチ。 (06/9/4)
SFか青春小説かホラーかなんか。 世界が冬に閉ざされてしまった時代。 ぼくは冬の教室で燈崎人魚と出会う。 人魚はかつて僕と愛し合い、そして死んだはずの少女だった。 人魚はぼくのことをおぼえていない。 いったい人魚になにが起きているのか…… ずっと弱弱しいポエジーなだらだら語りがつづいて、最後の方で、一気にめちゃくちゃな設定が明かされておわるという、もっとも大塚英治の作家としての特性を生かす書き方がされていた。ので、大塚先生の著作の中ではけっこう面白かった。さらっと読めたし。 なんかこう、地に足の着いてないエロさと無意味なグロさが気持ち悪いのは相変わらずだが、設定は面白かったし、モラトリアム全開の語り口はオタクっぽくてよかった。 ただ、ワイフと二人合わせてほそぼそと長くやってるらしい大江公彦シリーズとやらにする必然はあったのか? 大江公彦シリーズなるものを一作も読んだことがないのでまったくわからないぜ。 あとがきは面白かった。 大塚先生の駆け抜けた八十年代おたく出版業界事情はきもい青春って感じでいいし「ぼくは全然おたくじゃないおたく雑誌の編集者にうんざりしていたし」という一文が、とても大塚先生らしくていい。作家であるよりも評論家であるよりも一介のおたくであるのが大塚英志なんだよな。 (07/8/3)
長編ラノベでSFなの?オカルトなの? 三年前、ボランティアで出向いた海外で、福山さつきの恋人は忽然と消息たった。 恋人の帰りを待ちきれず、新しい男を作るさつき。しかし、恋人は帰ってきた。五人の人間の体をつぎはぎしたフランケンシュタインの怪物となって。 そして彼が帰還して以来、さつきの周辺には奇怪な事件が起こる。 人の脳内に住む小人。 精子の中に宿る小人。 死体から産まれた子供。 床下の住人。 そして…… 大塚先生ってさ、なんでほんとに、ここまで人に嫌われそうな書き方するの? ねえなんで? わざと? 天然? どっちなのよ! 設定は面白く、それぞれの怪奇現象も魅力的で、オチも嫌いじゃないのに、本当にもう、読んでてつばを吐きたくなる。 上から諭すような偉そうな口調や「これくらい知ってるよね」と言わんばかりの論調、無駄に幅広い雑学や、漫画に対する屈託した愛情は、編集者・評論家としては稀有な才能であるのだが、作家としては邪魔でしかない。 いいから漫画のキャラとかをがしがし比喩表現につかうな。全部わかるけど恥ずかしいわ。 しかし最大の問題は、なにをいうにもヒロインか。 三十間近で研修医やっててキャバクラのバイトで生計立ててて童顔で貧乳で精神科医の香山リカに似ていて恋人はなかばヒモの不安神経症でその恋人とのマグロセックスが日課で昔の恋人に激ラブだけど今の恋人と別れるわけでもない、という、なんか大塚先生以外の誰に好かれるんだかまったくわからない設定の数々がたまらない。おまけにいちいちリアリティがない。 こいつが語り手をやっているのだと思うだけでなんだかなあという気持ちが湧き上がって止まらない。 大塚先生は、もう少し自分の性癖を抑えて作品を書くと良いと思うよ。見聞は広いんだからさ。 (07/12/6) |