タイトル | 評価 | 一言メモ |
マルドゥック・スクランブル 全三巻 | うな | 長編SF。凄いんだろうが理解不能 |
カオスレギオン 〜魔軍聖戦編〜 | う | 押尾先生は?押尾先生はどこ? |
ラノベ。長編ファンタジー。 今度、カルドセプトの新作が出るんですよ、新作。四年ぶりに。 興味ない人には死ぬほどどうでもいいでしょうが、いやあ、カルドセプトと云えばモノポリー系のゲームの究極にして至高、そう云いきっても良い名作で、おまけにネット対戦までできる作品ですから、もうワクワクが止まらないわけですよ! で、なんでそんなカルドの話を今しているのかというと、そのカルドの新作、ストーリー面の強化ということで、シナリオをプロの作家が受け持つことになったそうなんです。 基本的にラノベ作家なんだけど、日本SF大賞もとったことのある人で、カルドのノベライズを担当した縁でカルドに惚れこんでシナリオやるらしいんです。 で、そいつがこの人なんです。 そういうわけで、カルドのシナリオに対する不安を払拭するために、敢えてこの人のファンタジーげな作品を読んでみよう、と。 ところで、カプコンが鬼武者とかデビルメイクライとかがヒットしたとき、自社や他社で「よし、似たようなのつくって儲けよう!」という動きが微妙にあったんたです。 で、その結果どうなったかというと、ワゴンの中に彩りを添えることになったのです。 そんなワゴン軍の筆頭と云えるのが、たちまちにして980円になった二大巨頭 主演・ガクトの『武刃街』 そして主演・押尾学の『カオスレギオン』 なのです。 そう、今作はそのザ・ワゴンと名高いカオスレギオンのノベライズ作品であるのです。 ノベライズといってもゲームのシナリオも同作者がやっているみたいなので、オリジナルといってもいいノベライズなのです。 さて、そんなこのカオスレギオン。出来栄えの方はというと…… まあー、ワゴン行くわなあ。 あらすじ。 親友にして上官である男に恋人を殺された騎士が、陽気な妖精をひきつれ、復讐の鬼となって男を追いつづけるが、だれよりも信頼していた男に会うと、胸がキュンキュンしちゃうのです。 えーと、なにこのベルセルク? そしてまた読みはじめて驚くのが、これ、最初の10ページくらいが映画の予告編みたいになってるんだ。 年表に出来事が書いてあって、1ページくらい盛り上がったであろう場面のセリフが抜粋されて。 一応、過去の出来事だけを総ざらいしているみたいなんだけど、この数ページで過去編がだいたいわかるわけね。 で、本編の中盤でその過去編を長々とやっちゃうわけ。 いやー、だれただれた。 だってただでさえベルセルクのインスパイアなもんだから、過去編読まないでも想像つくのに、先にダイジェスト読まされているんだもの。 読む気しねえっつうの。べつに目新しい部分もないし。 そういう部分を中心として、不気味なくらいに構成のまずさが目立つ。 唐突に放浪しているし、なんか勝手にパーティ組んでるし、全然説明ないし。 これ、一巻じゃないのか? と疑ったが、やっぱり一巻だし、どういうことだ? と心底疑問に思う。 どうやら本作の前に短編が一個あったらしいが、長編の一巻なんだから、かるくうまい具合に説明を入れてくれ。プロなんだから。 とにかく、作者の一人合点が目につく鼻につく空をつんざく。 以前読んだ作品でも、設定厨的な要素は多分にみられたが、SFであったからなんとか許されていた。 が、今作はファンタジーで、基本ありがちな設定なのに、必死に自分解釈みたいのをとうとうとやられると鬱陶しいことこのうえない。 決め台詞みたいなのもありがちなうえにカッコよくない。 とにかく読み手と作者と作品の基本トーンがちぐはぐなままに進んで、最後まで噛み合わなかった気がする。 しかし、べつに手抜き作品というわけではない、んだけどね。 もし、この世にうけないことが宿命付けられた作品があるとしたら、今作はそれなんだろう。 カプコンが製作し芸能人を声優に起用しプロの作家にシナリオを頼み、すべてが失敗に終わった、だれも幸せになれなかったプロジェクト…… それがカオスレギオンなのだろう。 合掌。 とりあえず、カルドセプトサーガの出来は不安になりました。 「ゲーム業界ではサーガがつくと駄作になる」というジンクスと共に…… まあ、そもそもXBOX360で発売されるカルドセプトサーがを買える予定なんて、はなからないわけなのですが。 (06/6/4) |