タイトル | 評価 | 一言メモ |
ヤングガン・カルナバル | うな | ガンアクション。作者が物騒 |
パウンド・トゥ・バイオレンス ヤングガン・カルナバル | うな | 順調 |
銃と恋人と生きている実感 ヤングガン・カルナバル | うな | いつも通り |
天国で迷子 ヤングガン・カルナバル | うな | ちょっと意外な展開 |
ドッグハウス ヤングガン・カルナバル | うな | 第一部完。でももやもや |
そして少女は消えた ヤングガン・カルナバル | うな | ★ |
愛しき日々、やがて狩りの季節 ヤングガン・カルナバル | うな | 二部になってもいつも通り |
前夜祭・標的は木暮塵八 ヤングガン・カルナバル | うな | ついに盛り上がってきたか? |
開催・バンケットの死闘 ヤングガン・カルナバル | うな | やっと開催カルナバル! |
後夜祭・ラストマンスタンディング ヤングガン・カルナバル | うな | うおおおおお! すっきりしないまま第二部完! |
パズルアウト | う | 悪人がいないと普通につまらない |
「うー、〆切り〆切り」 いま漫研の原稿締め切りにおわれている僕は、高校に通っているごく一般的な高校生。 強いて違うところをあげるとすれば、殺し屋をやっているってことかナ--名前は木暮塵八。 そんなわけでボスに云われて皆殺しにやって来たのだ。 という感じのラノベだった。 鈍感でオタクっぽい少年が実は凄腕の殺し屋で、というと完全に願望充足型のぬるい少年漫画の世界にしか思えないが、さにあらず、作者の性根の問題なのか、陳腐とも思える設定なのに読ませる読ませる。 まず銃器に対する知識の豊富さと、それの自然な説明の仕方が見事というほかはない。 いくら銃器カタログを読み込んでもわからないような、使っているものにしかわからない実感のこもった感覚的な説明がたまらない。 「コイツ、確実に撃ってる!」 そう思わせるだけの危険さが説明のあちこちからにじみ出ている。 その危険さは文章のドライさにもあらわれている。 じつに景気良く人が死ぬのだが、それがもう、盛り上げようとして殺しているのでもなく、かといって若者特有のリアリティの欠如というのでもなく、ただ「人は撃たれたら死ぬ」という当たり前すぎる常識を当たり前に描いてしまっている。 同様に、あらゆる犯罪を「実際、世界のそこかしこでこれくらいあるからね」というノリで普通に描いてしまっている。 その普通に書いてしまっている感覚が物騒でこわい。 作中で組織のボスが主人公を評して「正しい狂気を持っている」と述べているが、それはそのままこの作品への評価になる。 こういった二重生活ものというのは、たいてい学園生活のノリの延長で戦闘が始まってしまい緊迫感に欠けるものになるか、あるいは戦闘がはじまった瞬間にキャラがすっかり変わってしまうかの二択になりがちだ。 ところがこの作品では「正しい狂気」を備えた主人公が、学園生活と殺しをまったくもって等価の現実として捉えている。地の文章自体もそうだ。 この殺しと学園がシームレスに同居して違和感がないという奇妙さこそが、この作品の特色だろう。主人公の木暮塵八というキャラクターは、まさしくそれを体現している。 一方でもう一人の主人公、鉄美弓華は帰国子女で傭兵訓練を受けていて野生児で格闘技の達人でレズで美少女、というコテコテのキャラ付けをされていて、この少女が実に男前で惚れ惚れしてしまう。 萌えとかそういう次元ではなく、本当に男前だ。素で女を押し倒しそうになりながら自制する姿がたまらない。 ストーリー自体は、シリーズの一巻目なので設定の説明とキャラ紹介に終始して、開幕編としかいいようがない。つまり良くも悪くもない。 だが、作者の銃器の知識と素で殺伐とした書き口に興味が湧いたので、ちょっとシリーズ通して読んでみようかな。 話自体が面白くなるならいいんだけど。 (08/10/4)
ライトノベル。ガンアクションもの。シリーズ二作目。 冴えない漫研部員の塵八と、スーパーレズビアンの弓華の殺し屋コンビ。 いろいろあって、塵八は両親の仇と戦い、弓華は母を憎むテロリストと戦ったりする。 いかにも狙ったようなクールな師匠の登場。 その師匠と同格という両親の仇の登場。 という、お約束の展開だなー、と思っていたら、仇がさっくり殺されたりして、油断のならない展開の早さ。 長編シリーズの2エピソード目というのは、まだ読者が馴染んでないからあまり大きく話を展開させるわけにもいかず、かといってだらだらやってれば飽きられる、というどっちに転んでもあまり面白くならないポジションで、そういう意味ではテンションを下げずに無難にこなしたな、という感じかな。 一巻に比べると、ちょっとモラルの暴虐さが足りず、普通の勧善懲悪ものっぽい感じがあって残念だったが、二巻目だからね、しょうがない。こんな感じこんな感じ。とりあえず次を読む感じにはなった。 問題はこのあとでどう展開させるかだよなー。面白くなるのかね?わからん。 (08/10/13)
高校生で殺し屋の塵八と弓華。 なんかいろいろあって存在しないことになっている自衛隊の凄腕部隊と闘うことになる。 4、5巻のあとにさかのぼってこの三巻を読んだので話の大筋はわかっていたんだが、それにしても作者はドS。敵に捕まったら即拷問レイプ惨殺決定しているのがどうかと思う。けどもっともな話なのでなんともいえない。 今回登場した存在しない部隊の人たちは、うん、これゴランですよね? 北斗の拳に出てきた。あの頃の北斗の迷走ぶりは異常。 なんか普通に面白いけど普通にいつものノリなので、特に書くことない。 でも、やっぱりシリーズは巻数とおりに読むべきだと思った。 (08/11/22)
シリーズ第四巻。 高校生で殺し屋の木暮塵八。 今度は無敵の女王様みたいな女子高生や、スポーツしていたら金メダル余裕でしたなチート性能黒人とやりあうことに。 三巻は100円で手に入らなかったからとばして4巻を読んでやるぜヒャハハハハ! わかんねー!ストーリー展開がわかんねー! ……ということも特になく、サブキャラが軽く死んでたりして「おっぉっ」と思った以外は特に問題がなく読めたのは、果たしていいことだったのか悪いことだったのか。 シリーズの流れに順当に乗ってはいるが「え?そのキャラをここで殺しちゃうの?」とびっくりするような非情さがあって、そこがちょっとスリリング。 今巻は完全に「次号に続く」って感じだったので、一作としては評価しづらい。 シリーズとしては順当な感じ。 でもだんだん主人公たちが真人間になってるな。 (08/11/9)
シリーズ第五巻、第一期完結篇。 師匠の虚が殺され、弓華は敵に捕らえられ、絶望的な状況で茫然自失とする塵八。 一方、弓華は豊平重工の秘密施設「ドッグハウス」で過酷な見世物とされていた…… 第一期完なら結構ストーリーがまとまっているかと思ったらそんなことはなかったぜ! とはいえ、だんだんキャラ性能がでたらめになってきて面白い。 アンチマテリアルライフル持ったまま絶壁をよじのぼり鉄骨の上で狙撃する変態スナイパーの真田さんや、仲間の美青年をいじめたいから組織を裏切っていた最強の変態ドSホモ毒島将成、最強すぎて意味がわからない豊平琴刃、二階からダイブ余裕でしたで世界最強の拳銃ツェリザカを撃ちまくる傭兵レインメーカーなど、チートいちじるしいので面白い。 特にツェリザカがどれくらい大きいのか知りたくてグーグル先生に尋ねてみたら、本当に大きすぎて笑った。こういうのは拳銃と云わんだろw 裏社会の権力者が集まる残酷な見世物小屋、というのはありがちといえばありがちなんだが、その外道っぷりが本当にあっけらかんとして外道なので、なかなかむなくそ悪い。 敵のボスもあっさり死ぬくせに最後までちゃんと大物の外道で、一巻からいままで、脇役一人一人の下種っぷりには実に定評がある。クルットル。 ガンアクションでありながら「壁を貫通できる銃持ってるほうが強い」という身も蓋もない部分がなかなか素敵。 しかし少年漫画とかラノベとかってのは、面白いっちゃ面白いんだが、物語がちゃんと閉じてくれないのでむずがゆいし、そのうちどうでもよくなってくる。 このシリーズは既刊が十巻までで、そこで第二部完らしいが、ある程度ちゃんと終わっててくれればいいんだがなあ。でも終わってないんだろうなあ。うなあ。うな〜。 あと関係ないけど巻末の広告 「押井守監督推薦」「作家・山下卓氏推薦」「ロマノフ比嘉監督推薦」「銃器評論家・床井雅美氏推薦」「作家・森奈津子氏監督推薦」 最後最後w 文章コピペして「監督」の部分消し忘れてるw つうか森奈津子はレズが出てればなんでもいいのかよw (08/11/10)
ガンアクションのシリーズ七作目。 弓華が日本で殺し屋四兄弟と戦うハメになり、塵八は塵八で修学旅行先の韓国でいろいろと騒動に巻き込まれるのでした。 相変わらず、としかいいようがない。 順調に展開しているの一言。 敵の殺し屋四兄弟はベタながら普通にキャラが立っているし、味方の戦闘員が着実に増えているのも漫画的燃え展開でよい。 その一方で、この作者は情け容赦なく味方でもなんでも殺したりひどい目にあわせたりするので、ピンチが本当にピンチに感じられるのが良い。この当たり前な部分において、このシリーズは他より一歩リードしている。 今回もメインキャラであるチェ・ミナがずいぶんな目に合っていたし、なんかそれなりに活躍しそうな感じで出てきた新キャラがあっという間に可哀想なことになったりで、ひどい感じだった。いい意味で。 特にツキジマの過去話がさらっと書かれているけど壮絶でいい。 戦闘のときも、その都度で装備が違うのがプロフェッショナルな感じでいいし、作者のマニアックなガン嗜好に惚れ惚れとしてしまう。 黒幕の一人、麻生太郎がモデルだと思われる政治家・玖条も実にいい味を出している 無知で声高な政治評論家を罵倒するシーンは小気味よいし、えらそうにしていないのに、言動の端々に大物感があるし、同時に偏執的狂気がある。 この巻のラストで、いよいよ物語が大きく動き始めそうな引きがあったので、次巻以降に普通に期待。 (09/1/11)
シリーズ八作目。 ついに明かされる<カルナバル>の全容。 それは犯罪組織同士の代表者の争いによって、組織の命運を決めるゲームだった。 ハイブリッドの代表に選ばれた塵八と弓華。しかし塵八の命は狙われ、弓華は母に囚われていた…… ……なんかカルナバルの内容が想像以上に漫画チックでちょっとガッカリした。 が、漫画だとわりきると、今までのライバルや死んだと思ってたキャラたちが一同に会し、メキシコを舞台に盛大な殺し合いを始める、というのは燃える展開ではある。 が、なにをいうにも今巻はカルナバルのための準備だけに費やされているので、なんとも。 次巻でちゃんと盛り上がればいいんだがなあ。 前巻といい今巻といい、やたらと引きがあざとい。 にしても、主人公はノーマルカップリングとはいえ、主要キャラのほとんどがレズかホモという、どこに向かっているのかわからない青春模様は素敵。 (09/1/12)
ついに開催された犯罪組織同士による暗殺ゲーム、カルナバル。 メキシコ軍の悪辣な将軍を暗殺したものの勝利となるこのゲームを巡り、48人の暗殺者たちが一斉に動き出す。 決戦は将軍が観戦にあらわれるルチャドールの大会の地、バンケットで行われることに…… 面白い。 んだけど、なんか満足できないのは何故なんだろう? 次々とあらわれる濃いい経歴と実力の暗殺者たち。次々と繰り広げられる謀略と謀略のぶつかり合い。 同じ人物の暗殺をめぐり、各組織の思惑が多重に絡まりあい、騙しあっていく後半の展開はまさにクライマックス。特に狙撃前後のだれが有利なのかまったくわからないどんでん返しの連続は一瞬たりとも目の離せない大興奮の展開。 ……のわりに、あまりすっきりしないのが満足できない理由なんだろうか? 強いキャラ大好きな最強厨としては、超絶美形で接近戦最強でドSでド変態の味方・毒島やどんな攻撃でも先読みしてしまう無敵属性の琴刃、どんな物でも自分の思い通りになるのが当然と思っている弓華の母ちゃん鉄美聖火のカリスマ性がたまらない。 特に聖火は倒さなきゃ話が進まないだろうに、ちっとも倒せる気がしない。強すぎる。母の方で娘をレズに育てるなw レズといえば、レズの三角関係が五角関係くらいにパワーアップしてて、そこも良かった。 つうか、次の十巻で第二部完で、そこでけっこうまとまっているんだろうと思いこんで読みはじめたんだが、こりゃ収拾つかないな…… (09/1/13)
ガンアクションの十作目。第二部完結篇。 将軍暗殺ゲーム、カルナバルは第二の舞台へ。 ティオティワカンで開催される兵器見本市を舞台に、生き残った暗殺者たちは壮絶な戦いを始める。 カルナバルが幕を閉じるとき、最後に立っている者は…… なんかこう、やっぱり面白いんだけど不満が残るというか。 元々、このシリーズを読もうと思ったのは、この巻のタイトルがなんかカッコよくて、そんでもって十巻目にしてこのタイトルで、表紙に描かれているのが明らかに主人公でないことに興味を持ったからなのです。 ガンアクションでカルナバルでラストマン。 なんかすごく壮絶でカッコイイ絵面が想像できて、どうなってるんだろうと。 で、実際読んだ感想としては、別にラストマンでもねーじゃねえかと。 展開は早いし、スリリングではあるし、ところどころに素敵なシーンもあった。 特に、どんな攻撃も殺気を察知して絶対回避する琴刃と、もはや女勇次郎の様相を呈してきた鬼母・聖火の対決は最強厨としてはたまらぬものがあった。 めちゃくちゃ強いキャラでも、強力な近代兵器を喰らうと簡単に死ぬのがこの作品のよいところだ。 でも、結局味方はあんまり死ななかったな、と。 いやー、どうなんだろうなー、ハードル上げすぎたのかなー、面白いには面白いんだけど、ほんと全然納得できてないなー。なんとなく、もっとカタストロフしてカタルシスを与えてくれるような直感があって読み始めたんだけど、いつも通りおれの直感は当てにならないと、そういうことだったのかなー。 なんか安定して評価に困るシリーズだった。 とりあえず現在出版されているのはこの十巻までだけど、この先が出ても読むかどうかも微妙だなあ…… ガンアクションの妙として、やはり撃たれたらあっけなく死ぬというところだけは外せないことはこの作品でよくわかったけど。 あと表紙のイケメンが最強すぎる変態の殺し屋毒島さんなんですが、一般的に肉体の中にSEGAが流れている人間にとって、毒島といったらゾンビに四の字固めを決めるイメージがあり、具体的に云うと こういうイメージのため、この作品を読んでいる時も毒島さんのイメージはもちろんこれだった。確かに美形で変態だし。 ラストマンスタンディングというタイトルで、絵がこれだったら最強の作品だった。間違いない。 (09/1/14)
他人の心の病を物質化させ、治す事の出来る特殊能力もちの少年と、腹話術でないとまともに話せない少女の話。 文章もストーリーもやけに薄っぺらく、なによりもヒロインに微塵たりとも魅力を感じないため、面白さを見出すのが難しかった。 『ヤングガンカルナバル』シリーズでは、銃器と同性愛と下衆要素を充実させて色々補っていたが、この作品での哲学・心理学の知識ひけらかしは銃器の時のような説得力をもたず、悪人は普通に影が薄かった。 やっぱり下衆が出てこないとダメなんじゃないかな、この人は。 あとはまあ、単純に面白くない。 それにしても、富士見ミステリー文庫は、いつも感心してしまうくらいにミステリーであることを捨てきっているな。誰も期待していないとはいえ、よくここまで思い切れるものだ。 (09/1/23) |