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秦 建日子

タイトル評価一言メモ
推理小説小説になってない。これは脚本。





  推理小説  う

推理小説 (河出文庫)
秦 建日子
河出書房新社





長編ミステリー。

あらすじ
次々と起こる謎の連続殺人。被害者につながりはなし。
現場には「アンフェアなのは誰だ」という書き置きが残る。
そして出版社に事件の様子を詳細に描いた小説が届けられ「続きはネットオークションに出すので三千万円で落札せよ」と犯人からの要求が記される。

くそつまらない。
なにがここまでくそつまらないのかわからないくらいつまらない。
ストーリー? 確かに陳腐だが、ミステリーでこんなレベルのは珍しくない。
キャラクター? 薄っぺらいが、主人公の設定だけはいろいろ考えられている。
文体? めったに見れないほど薄っぺらい文だが、読みやすいのだけは評価できる。
オチ? 犯人? 動機? 確かに最低だが、そこにたどり着く前からすでに最低だった。

いったいなにがここまでこの作品をつまらない、というかどうでも良い感じにしているのか?
わからなくて作者の経歴をみたら、この人、テレビドラマの脚本家なのか。
なるほどー、つまり、これ小説じゃなくて脚本なんだな。薄っぺらくて当然、だって未完成品なんだもの。
小説というのは、それだけで一つの完成された世界でなくてはならない。が、脚本というのは逆に完成されていてはいけない。役者が演じることによってやっと完成する、そういう余地がなくてはいけない。

調べてみると、この小説、『アンフェア』というタイトルで06年にドラマ化されている。平均視聴率も15%以上となかなかだし、劇場版もやっている。
まーなー、これ、主人公とかもろに『ケイゾク』だの『トリック』だの意識してるもんなー。主人公の型破りな美人刑事役に篠原涼子って、はは、なんてつまらんキャスティングだ。

未完成品である本作を読む必要はなし。見たけりゃテレビドラマを見れば良し。
話自体は、一昔前のミステリーらしい中身と人間性のないくだらないものだった。作者の人間を見る目や人生観が文章に出ていない、よってアイデアを生かせていない。
小説書きたいなら小説の勉強をするべし。役者に語らせるんじゃなくて作者が語るのが小説だ。うしろにひっこむな、前へ出ろ。脚本で食っていけてるなら、小説なんて出すな。そんな感想でした。

(07/12/11)










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