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笠井 潔

タイトル評価一言メモ
復讐の白き荒野うな長編スパイ小説。疲れた。





  復讐の白き荒野  うな

復讐の白き荒野
笠井 潔
原書房





長編ミステリ(スパイ小説)
だ、だるい。だるいにゃあ。
評論家であることが足を引っ張っているにゃあ。

この人の作品、元から薀蓄たれ系の話だけど、これはだるかった。
謀略によってソ連の強制収容所に五年間とらわれた青年が、復讐のために脱獄。謀略者を皆殺しに。
という筋自体は単純なのに、そこに日ソ関係と諜報戦と、こってりとした右翼テイストが盛り付けられ、うんざりするくらいに濃くなっております。

まあ濃いのはいいんだが、しかしその濃い設定をストーリーに関係ないんじゃないかってところまでじっくりと語り尽くしてしまっているために、疲れるし、なによりキャラが物語に殺されてしまっている。物語のために動かされてしまっている。
だからリアリティはすごくあるのに印象的なキャラが主人公くらいしかいない。

そもそも、主要キャラが基本的に極右なので、はっきりいって感情がまったく理解出来ない。
なんでそんなに天ちゃんラブかなあ?
なんせ「神として甦った陛下は」「白馬に打ちまたがり大元帥として君臨される」だからなあ。皇太子様のAAなんてもう見せらんない。

構成的には、序盤、物語の入りはいい。
氷原を渡ってきた死んだはずの男。広大に広がる白き荒野。番屋守の老人と復讐鬼と化した青年との交情。吹き荒れる吹雪の中を決然と進む主人公・勲はカッコいかった。

が、その後、都会に出てしまうともう色あせていって、そして中盤にさしかかり作者が設定を説明するのに必死だなって状態になると、もう眠さだるさはマックスで、ライドオンタイム状態ですよ兄さん(兄さん?)

が、まあ最後の五十ページくらいは良かった。良かったはず。良かったんじゃないかなあ。良かったらいいなあ。
じゃあそういうことで。









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