タイトル | 評価 | 一言メモ |
夏のロケット | うな | ロケットにかける青春。ロケットって、男の子だよな |
川の名前 | うな | 川にかける青春。川って男の子だよな |
現代もの。青春小説? ていうかロケット小説。 高校時代、小型ロケット作りに夢中になってた六人グループが、三十を過ぎて再結集、ふたたび今度は本物の有人ロケットの開発を目指す。というストーリー 「だって、そこに火星があるんだ。それで十分じゃないか」といった台詞にあらわれるように、根底にあるのはあくまでもロケット、および宇宙に対するロマンチシズムとある種のセンチメンタリズム。 どこまでも甘く流されていきそうなところを、打算とビジネスをしっかり描くことによってリアリティをつなぎとめている。 ロケットを取り巻く現実や歴史、ロケット製作費用などを、具体的な人名や数字を出すことによって、すごくリアルにしあげている。きっとすさまじい資料集めや取材があったのだろう、と容易に想像できる。 文章は、うまくはないが、まずくない。ところどころいい文もあるが、ちょっと埋没しがちになる。演出が下手なのかもしれん。 構成的には、かなり難があるよな。 序盤はロケットの説明が多すぎるし、中盤、主人公のロシア行きは、ストーリー的にはあんまりいらないし(けど一番うまく書けてたのもここなんだが)、終盤の150ページくらい、実際にロケットをつくりあげてから発射までは、ちょっと細かいところまで書きすぎていて、リアルといえばリアルだが、かなり冗長。 まあ、資料として読んでみたわけだが、その役目はじゅぶんに果たした。 作者の力量も、まずくない。 が、文章的にはそんなに読みたい作家ではない。 題材の選び方、捉え方、説明のし方は秀逸なので、題材次第かな。
脩は、親の都合で引越しの多い小学五年生。 夏休みの自由研究のために、脩は友達のゴム丸、河童の三人で、近所にある鳳凰池を探索する。鳳凰池には怪物が出るという噂があるのだ。 しかし、そこで三人が見つけたのは、なんとつがいのペンギンの巣だった。 こうして、川をめぐる脩のペンギン・サマーが始まったのであった。 んん? 児童文学? これ。 なんとも清く正しい学級文庫にあるような話だ。 きれいなのび太の脩、きれいなジャイアンのゴム丸、きれいなスネ夫の河童の三人に加え、親しみやすくなった出来杉くんの手嶋が加わって、どう見てもドラえもんです。本当にありがとうございました。 手嶋圀光くんが名前的にテニプリの部長にしか見えなくて、そこが結構笑えました。 ノンフィクション作家の一面ももつ著者だけあって、内容は非常に丁寧で、川の知識やペンギンの知識が自然に身に着く様になっているのは素晴らしい。 が、そのためというかなんというか、どうにも展開がスローモーで、ぶっちゃけた話、ストーリー的にはこの三分の一くらいの長さでよかったんじゃないか、という気がする。 小学生時代にノスタルジックな感情をポジティブに抱ける人なら面白いんじゃないかな。 だから、おれは、こう、うん、ごめん。 (07/11/6) |