タイトル | 評価 | 一言メモ |
ヴィーナス・シティ | うな | ネット社会を予見した先見性は見事 |
長編SF。日本SF大賞受賞作。 ネット技術の発展により、さらに経済大国として栄えた未来の日本。 その象徴ともいえるVRの街、ヴィーナス・シティ。 主人公、咲子はそこでサキという男としてプライベートを過ごしていたのだが、ある日、ジュンコという美少女と恋に落ち、トラブルに巻き込まれる。 とにかく作者の先見の明が光る。93年出版とはとても思えない。 ネットで解放されるジェンダー。金銭で取引されるアバター。 現実とネットで二つの人格をもつ人々。 まさに現代のネット社会を予見している。 ISDN接続なのが笑えたけど。 豊穣なアイデアがこれでもかと詰め込まれ、ジェンダーや民族性に関する哲学がストーリーに織り込まれている。 見事なSF大作である。 が、後半、ちょっと失速したかな。 真相の部分をもっとクローズアップしても良かったのでは。 いずれにしろ、模範的な良いSFだ。 (06/9/14) |