タイトル | 評価 | 一言メモ |
西城秀樹のおかげです | うな | SFコメディ短編集。変 |
ノンセクシャル | うな | 長編ホラー。変 |
SFコメディ。短編集。 ★『西城秀樹のおかげです』 近未来、謎のウイルスにより人類の絶滅した地球に生き残ったのは、ただ一組の男女。しかし二人にロマンスが発生することはなかった。 なぜなら、女は二メートル二百キロの三十路だが、心はお姉さまを待ちつづける可憐な女子中学生。 男は二十代の青年、しかし心は男に君臨するドラァグ・クイーンだったのです。 そんな二人は、だれもいなくなった新宿で、都合のいい妄想に身をゆだねながら、 きままな日々を送っていたのです。 まあ、いろんな意味でどうしようもない作品。 これはもう、タイトル勝ちとしかいいようがない。 さして新しいシチュエーションでもなければ、納得なんかいくはずもない解説だが、西城秀樹のおかげなんだからしかたない。そう思わせる力がある。だって西城秀樹のおかげだもの。 ★『哀愁の女主人、情熱の女奴隷』 ある日突然、ただ一人の身寄りである兄夫婦を失ったオタク系独身女性。 彼女が遺産と一緒に相続させられてしまったのは、幼い姪っ子と、マゾヒストのセクサロイドだったのです。 マゾは強し、という話。 なにを云っても快楽に変換するセクサロイドの描写が滑稽の一言。 ★『天国発ゴミ箱行き』 死んでしまった主人公は、天国にて生まれ変わりを斡旋される。選べる候補は三つ。 年下の青年を囲う麗しい女流ミステリ作家。 数々の女を屈服させるちょい悪純文学作家。 そして一人で冴えない毎日を送る、内心だけ淫乱な売れないSF作家。 果たして主人公が選ぶのは…… 作者自身を軽く自虐しながら、笑いに転化できる程度に私生活を切り売りしたコメディ。 ちょっとフレドリック・ブラウン的なオチが、いちおうSF作家なんだなあ、と思わせる。 ★『悶絶! バナナワニ園』 同性愛の禁じられた未来。 女探偵は同性愛者の巣窟と云われる女性デザイナーの邸宅に侵入したのだが、捕らえられ、バナナワニ園の恐ろしさを知ることになるのであった。 くだらないの一言。いい意味と悪い意味の両方で。 よくもまあこんな作品書く気になるものだなあ、と感嘆する。 ★『地球娘による三分間クッキング』 同居をしているでこぼこ三人組女性。 一人はハード同性愛者、一人はカルト食マニア、一人はSFオタクでした。 そんな彼女たちの部屋にとびこんできたのは、小さな小さなUFOだったのです。 自分の守備範囲にのみとことんこだわる三人の姿が、滑稽であり、微妙にこわくもある。 ★『タタミ・マットとゲイシャ・ガール』 前にアンソロに載ってて感想かいた気がするが、その感想が見つからない。 普通にくだらなかった。 ★『テーブル物語』 男性器と女性器の形を随所にあしらったテーブルにまつわる一つのお話。 ……いや、ここまで行くとただのエロ小説じゃね? 作者本人としてはそれで一向にかまわないのかもしれないが。 つまらなくはないんだけどさ。うん。 ★『エロチカ79』 ……あ、ありのままにあらすじを話すぜ! 「1979年。三原順子にそっくりな女子中学生の行く先々で、山口百恵にそっくりな女子中学生があらわれ、よくわからない理屈で近くの女性を緊縛し、そして順子は更正してクララは立ち、省エネルックは流行らなかった」 な……なにを言っているのかわからねーと思うが おれもなにされたのかわからなかった…… 頭がどうにかなりそうだった…… 超展開だとかシモネタだとか そんなちゃちなもんじゃあ断じてねえ! もっとくだらないものの片鱗を味わったぜ…… 全体的に、くだらないの一言。 まあ、それなりに読みやすいし、頭の悪いSFが好きな人ならいいんじゃないでしょうか。 しかし、このレズをネタにしまくって逆にホントの嗜好がわからなくなるという芸風は、面白いといえば面白い。 (06/6/4)
バイの主人公が別れ話でごたついてるときに美人に助けられたけど、その美人が異常者でしたよ、という話 ストーリー的にはなんのひねりもなく、異常者の異常っぷりもさして目新しいものでもないんだが、それでも最後まで面白く読めてしまった。 それはひとえにバイセクシュアルの主人公が、ほんとにあっけらかんとバイで、読めば読むほど「なるほどバイだ」「たしかにバイだ」と納得してしまう説得力に満ちている。 ホラー小説として面白いというより、バイ小説として面白い。さすがバイ作家 そういう小説は稀有なので、バイやレズが好きな人は必読。 (08/11/7) |