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森岡浩之





タイトル評価一言メモ
星界の紋章 全三巻うなぎSFジュヴナイルの傑作
星界の戦旗 1〜3うなSF架空戦記。面白いけど埒があかねえ
星界の戦旗 4〜うないいから続きを出せ
星界の断章うな面白いけどいいから本編の続きをだな……
星界の断章2うないやだから本編の方の続きをだな……
月と炎の戦記うなぎなにげにうまくまとまっている日本神話ラノベ
月と闇の戦記 全三巻うな現代ではじまる月読尊VSほにゃららら
夢の木が接げたならうなぎ模範的なSF短編集。
機械たちの荒野(メタルダム)うな荒野ものの秀作
優しい煉獄うな∈(゚◎゚)∋マトリックスっぽい話。
シャランドの嵐(荒神伊火流)う∈(゚◎゚)∋森岡先生の黒歴史
単行本未収録作品等

  星界の紋章 全三巻  うなぎ

星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房











  星界の戦旗 1〜3  うな

星界の戦旗〈1〉―絆のかたち (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房











  星界の戦旗 4〜  うな

星界の戦旗〈4〉軋む時空 (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房





長編SF。
3巻から4巻の間にものすごい時間がかかっていたので、どうせ5巻までも時間かかるのだろうし、あとでまとめて読もうと放置していたが、本当に5巻が出ない。
諦めて4巻を読んだが、ひさしぶりだったのでややこしい設定に全然ついていけない。
やっと思い出してきたかな? と思った頃には4巻が終わっていた。
めちゃくちゃ中途半端なところだった。

一つの戦争を皇帝から見た視点、艦隊司令官から見た視点、一艦長から見た視点と別々に描写することによって、政治と戦略と戦術のすべての視点から戦争が描かれているのは面白い。
面白いがややこしいし、ジントとラフィールの出番が少ないので淋しい。
いいからさっさと続きを書いて欲しいものだ。

あとがきを読むと、次巻で前半のクライマックス〜って、このペースで全十巻くらいの予定なのか?
一生かかるな、こりゃ。
次の巻読むときにはまた全部忘れてるんだろうなー

(07/4/23)







  星界の断章  うな

星界の断章 <1> (早川文庫JA)
森岡 浩之
早川書房





SF短編集。各所で書かれた星界シリーズの短編をまとめたもの。

アーヴの起源を描く ★『創世』
ジントがアーヴの宴にとまどう ★『饗宴』
漂流船が出会ったアーヴとの取引 ★『蒐集』
ジントの同僚サムソンの故郷での闘い ★『哺啜』
公女ペネージュの大公代理の日々 ★『君臨』
ジントが軍学校で出会った奇妙な一族の末裔 ★『秘蹟』
ある地上世界での音楽家探しの顛末 ★『夜想』
星海軍の厄介者ワローシュ伯国人の楽しみとは? ★『戦慄』
ラフィールの父母が出会った漂流船の正体は…… ★『誕生』
アーヴの姉が楽しみ、弟が恐れる古の楽しみとは…… ★『暴君』
ハイド星系がいかようにしてアーヴに発見されたかを語る ★『接触』
独立したアーヴの先祖が、母都市への帰還を遂げる ★『原罪』

良くも悪くも、ファンのみに向けた短編集か。どの話も、本編を知らないと微塵も楽しくない。
気になったのは、同人とかを意識した話がやたら多かったこと。
どの氏族が一番萌えるかを語り合うワローシュ伯国人。アーヴにも残っていたコミケの風習。一族代々に委員長体質。などなど。
どうやら初出がゲームの付録とかの奴がそうなっているらしい。
そういや、この作品、アニヲタ向け作品だったんだな。
赤井孝美のイラストのせいではずしまくってると思う僕としては、どうにも意外な感じだ。
いや、嫌いじゃないですよ、赤井孝美自体は。
プリンセスメーカーとかにはまってた口ですから。
ただ、SFに向かないっつうか、ほら、ただでさえロリ絵描きなのに、近年ますますロリ方向に加速してるじゃないですか。無理がありますよ、いろいろと。
と云っても、この作品のヒットの一因はイラストでもあるみたいなんですけどね。

で、そのヲタ向けの作品ですけど、いちいち「原作とは設定が違います」とか「原作には存在しません」とか書いてあるのがいちいち萎える。そりゃないですよ、このとっちゃんボウヤが!

対してSFマガジンとかを中心に発表した作品群は、シリーズの設定をいろいろと明かしてくれてていい感じ。
特にアーヴの起源を語る「創世」とその後の顛末である「原罪」は面白かった。

でも、一番印象に残ったのは凶暴化した白菜だけどね。あのアイデアにやられたって感じだ。

(07/8/17)






  星界の断章2  うな

星界の断章〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房





SF短編集。 星界シリーズの番外編的な話。
CDドラマとかに載ってた短編を集めて、書下ろしをつけたもの。

面白いには面白いんだが、あまりに刊行ペースが遅いため、主役二人以外が出てくるたびに「あれ?こいつ誰だっけ?」と思ってしまい、思い出すころには話が終わっている。
もともと特典としてついている番外編が多いため、ページ数も一つの話としてのまとまりも少ない。キャラクターの補完話としては優れているんだけどね。
SFマガジンに載ったやつと、最後の書き下ろしのやつは、ページ数もそこそこあるし、話のまとまりもいい。
とにかく、刊行ペースをあげてくれ。話はそれからだ。

(08/5/14)







  月と炎の戦記  うなぎ

月と炎の戦記 (角川スニーカー文庫)
森岡 浩之
角川書店











  月と闇の戦記 全三巻  うな

退魔師はがけっぷち。―月と闇の戦記〈1〉 (角川スニーカー文庫)
森岡 浩之
角川書店





★一巻『退魔師はがけっぷち』


★二巻『守護者はぶっちぎり』
このシリーズの一冊目「月と炎の戦記」は、なにげにライトノベルでは屈指の一冊完結型の良作だと思っている。
派手さも目新しさもないが、テンポもよいし一冊のわりにスケールもでかい。
それでいて遊びもあるし、さりげなく民俗学にも造詣が深いところがうかがえるし、日本神話の解釈も的確でかつわかりやすい。
なによりラストの数行が、さすがSF作家、夜空のロマンを感じさせる終わり方。- 爆発力はないが作者のたしかな力量がうかがえる作品であった。

その、前作の主人公コンビ、月読命と楓が現代にあらわれて、ってな話だが、なんかいかにも連載物という感じで、テンポがよく、それほどまずい文があるわけじゃないのだが、この作者の作品にしては中身の密度が薄い。
濃い内容を簡略な説明と皮肉の利いたセリフでにやりとさせながらすらすらと読ませるのがこの作者の特色だと思うんだが、台詞回しのよさしか残っていない。
が、わき役のさりげない生かし方は心得たものであり、幽霊のコンや敵の伏見、教官高寺などちょい役だがいい味出してる。

いかんせん根っこの話がそんなに楽しそうじゃない。
敵対する神ってのがどの神様なのかは気になるが(最初、女性だから天照かと思ったが、敵は闇の神らしいし、じゃあ大禍津日神かなと思ったが、それは災いの神で闇ともちがうし、部下の名前から建御雷かとも思ったけど闇とはまったくちがうし、闇=黄泉ということで伊弉冉尊かとも思ったけど、そう云えば前作に出てきてたし、そもそも日本神話で闇の神ってなんぞや?よく考えたらまったくしらねいや、日本神話。水蛭子、じゃねーよな)あとはそんなに気になる話しじゃないなあ。

まあ、かるく読めるので読み続けはする感じ。でも発刊ペースおせえんだよな。
表紙で無駄にパンチラしているのはどうか? ていうか、前作の挿絵は小菅久美だったのに、この草河遊也とかいう人になったけど、この人、なんかおれの読む本をやたらと担当しているけど、わりとどうでもいいんだよなあ。
嫌悪感を抱くほどでもないが、目にとまることもない。まあ、毒にも薬にもならないタイプだなあ。


★三巻『神様はしらんぷり』
最終巻。






  夢の木が接げたなら  うなぎ

夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房





作者の顔がとっちゃんボウヤ。以上。
いや、以上じゃなくて、えーと、著者唯一の短編集だーね。わりとハードなSF。
ライトノベルばっか書いている印象があるが、デビュウがSFマガジンなだけに、こっちの方が本職っぽい感じ。


★『夢の木が接げたなら』
言葉という概念に関する考察を中心とした、SFマガジンらしい秀作。
が、長編の書き方で短編のアイデアを書いたら、結果的に中篇になりました、みたいなちぐはぐ感がある。


★『普通の子供』
それだけの話って感じ。


★『ズーク』
特殊な環境で育ったがために、普通名詞の概念がなく、固有名詞しかない子供の話。
物語に発展しそうなのに、なにも起こらずに終了。
アイデアはすごい面白いと思う。


★『個人的な理想郷』
一言で云えば、ネットアイドルに恋人が出来たので失望して自殺する話。
媒体はパソコンではなくテレビになっているが、現在のネット全盛、個人HPが乱立し、ヒキコモリが多発するという時代を先見したような作品。
94年発表らしいので、まずまずの先見性だにゃあ。


★『スパイス』
珍しくサスペンス性の強い作品。
天才で変態の純愛の話ととれなくもない。良作だにゃ。


★『無限のコイン』
キャッシュが存在しなくなった未来。
ある日突然、世界中の人間の預金残高が∞になり……という話。
みんなが金持ちになったはずなのに、逆に食うにも困る事態に。面白い。


★『夜明けのテロリスト』
『無限のコイン』で示された機械と人間の主従逆転を、さらに押し広げた話。
なんか壮大になった。まあまあまあかな。

全体的に見れば、良作か。正統はSF。
意外にも、小松左京あたりの正当後継者なのかもしれん、と思った。未来社会シミュレートが社会派で。






  機械たちの荒野(メタルダム)  うな

機械どもの荒野(メタルダム) (ハヤカワ文庫JA)
森岡 浩之
早川書房











  優しい煉獄  うな∈(゚◎゚)∋

優しい煉獄 (トクマ・ノベルズ EDGE)
森岡 浩之
徳間書店





現在、世界を牛耳っていると噂されてい<ひろゆき十傑集>(※1)の一人、<星界の森岡>こと森岡浩之の連作短編SFです。


これ、面白いよ。
近未来、死者たちが余生をすごす仮想現実の世界。
敢えて不便な昭和を再現した世界に置いて、主人公である探偵のもとに舞い込む、 奇妙な、しかしどこかのんびりとした事件の数々なんですが。

ぼくが基本的に「暴力的でなく、女にもてない、貧乏な私立探偵」に弱い、というのがあるわけなんですけど、とにかくこのありがちな仮想現実の設定に、SF作家らしいこだわりを感じる。

例えば、あくまで企業が商売で運営しているため、金のなくなることが寿命を意味するというところや、住民のリクエストに応じて現実の不便さを再現しつつあるというところや、犯罪を行うためにはチケットを買わなくてはいけないとか、ヒロインの容姿が中年男性であるとか、そういう設定への理解と物語の進行が、たくみに連動しているため、ストーリー自体は凡庸な作品を、SFとして面白く読ませてくれている。

ただ、これ、続くの?
気持ち的には、物足りないので、あと二冊くらいはこのシリーズ続けて欲しいんですけど、どうなんですかね。
どちらにしろ、この作者はなかなかの遅筆なのでぼんやり待たなきゃいけないのですけど。


※1……ひろゆき十傑集

<マスク・ザ・ネット>こと2chの運営者西村博之
<命がねえの沖田>こと自殺した元アイドル沖田浩之
<金沢魔王五木>こと作家の五木寛之
<エロゲーの藤田>こと『To heart』の主役・藤田浩之
<受けまくる真田>俳優の真田広之
<落ちぶれたる管野>ことエロゲーライター兼社長の管野ひろゆき
<胡散臭き江原>ことスピリチュアルカウンセラーの江原啓之
<無気力の矢部>ことナイナイの矢部浩之
<みかんの武田>こと連載放り投げ漫画家の武井宏之
<星界の森岡>ことラノベ寄りSF作家の森岡浩之

の十人から成る組織。
見ての通り、各界の著名人で構成されており、世界は彼ら「ひろゆき」に牛耳られている。

(06/1/25)







  シャランドの嵐(荒神伊火流)  う∈(゚◎゚)∋

シャランドの嵐―封印された少女の記憶 (フランス書院ナポレオン文庫)
荒神 伊火流,霧風
フランス書院





エロ小説。
『星界』シリーズの森岡浩之先生が売れない時代に別名義で書いてたもの。
あんまりにもひどくて笑ってしまったので、とりあえずうな印つけとく。
笑えるってことはいいことだよ、きみぃ。

最終戦争後の世界、古代兵器「ラストバタリオン」の秘密を握る少女が軍隊につけまわされ……
って、説明するのもめんどいが、要するにラピュタのSFエロ版です。
とにかく安易なストーリー、ステレオタイプの設定と台詞回し、ご都合主義な展開と徹底したリアリティーのなさ、デウス・エクス・マキナ。
笑える笑える。

これ、エロ小説でも最後に書いた奴らしくて、手馴れていたのか、思ったよりがんばってエロシーンを書いてた。あのとっちゃん坊やヅラがこんなにエロシーンをがんばれるなんて、父さん、正直思いもよらなかったよ。
エクスタシーに達した時、大文字で「ラストバタリオン!」と叫んだときは、思わず吹き出してしまったではないか。
大事な大事な最終兵器のリモコンをバイブ代わりに使って奪われる敵役の人もGJだった。
彼の「催眠術」という設定が、とても素晴らしく安易に物語を転がしていく様は実に爽快。
エロシーン入れて枚数以内に話終わらせなきゃいけないんだから、まっとうに書いてらんねえんだよ! という作者の心の叫びが聞こえてきまくった。

いやあ、普通に黒歴史だな、これ。
まじに見所ないもんな。
でも、だれにでも、こんな時期って、あるのかもしれませんねえ……
やっぱ下積みは大切だよ。

あと、星界の刊行が遅いのも納得した。
いい加減に書くとここまで文が荒れる人だったんだな。

(06/9/2)







  単行本未収録作品等


旅人の願い(『2001』収録)  うな
2001

早川書房


良作。
下品で皮肉のきいたテンポのよい会話を楽しめるかどうか。
アイデアも悪くなく、オチもいい。けど、構成がまちがっている気はするw
 「星海〜」だけの人かと思ったが、そうでもないんだな。売れそうな感じの人。てか、売れてんのか。









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