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山形石雄

タイトル評価一言メモ
戦う司書と恋する爆弾うなSFかと思ったら厨二ファンタジーだった





  戦う司書と恋する爆弾  うな

戦う司書と恋する爆弾 (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄
集英社





長編ラノベファンタジー。

死者の人生が『本』という名の石となる世界。
神の代理として『本』を管理する武装司書たちは世界最高の戦士たちであり、主人公のハミュッタ=メセタはその頂点にたつ女性である。そしてもう一人の主人公コリオは、ハミュッタを殺すためだけに存在する人間爆弾であった。
コリオには自分の記憶がない。あるのはただ「ハミュッタ=メセタを殺せ」という誰から下されたのかすらわからない指令の記憶だけ。
人間爆弾の仲間たちとともにハミュッタを求め街をさまようコリオたち。コリオは偶然手に入れた『本』の少女に恋をしてしまう。だが少女は三百年も前に死んでしまっているのだった……

あ、ネタバレっぽいこと云うと思う。
なんかしらんがSFだと思い込んでいたら、厨二病系の俺設定満載なファンタジーだった。
キャラの名前がいかにもゲーム世代ですよって感じの無国籍具合だったり、あらゆる単語がやたらめったらややこしかったり(まあ、おれもそうですが)キャラづけをわざとらしい変な口調で補おうとしてたり、なかなか垢抜けない感じの作品だな。
人間爆弾となった人間の哀愁を描こうとがんばって雰囲気を出そうとしているが、がんばった分だけ文章がだるくなっており、なかなか読むのがかったるい出来となっている。
武装司書や敵の設定もあからさまにシリーズ展開を想定したバトル物風味で、おかげで無駄に登場人物が多くて、一冊としての完成度はかなり低くなっている。
とはいえ、メインストーリーのアイデアと構成はなかなか巧みで、この点は確かに買える。

過去が見える『本』によってはるか昔に死んだ少女に恋した少年と、予知能力によってその少年に恋をした少女。過去視と未来視による円環した恋というのは、なかなかにSF的で切なくて良い。

いい部分とダメな部分が拮抗した作品って感じかな。
まあ、ある意味とてもラノベらしい。
ただ、これタイトル負けしているというか、タイトルで得してるな。
タイトルだとなんかノリのいい作品っぽくて気になるもの。

(08/5/11)










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