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西澤保彦

タイトル評価一言メモ
解体諸因うな理論詰めのミステリー
完全無欠の名探偵うな奇妙な設定が西澤作品の持ち味
七回死んだ男うな∈(゚◎゚)∋SFミステリーの秀作
殺意の集う夜 
人格転移の殺人うななんだこの設定?(いい意味で)
彼女が死んだ夜―匠千暁第一の事件 
麦酒の家の冒険うなビール好きなら
死者は黄泉が得る★ 
瞬間移動死体
複製症候群激しく挑戦。見事に失敗
仔羊たちの聖夜
幻惑密室
スコッチ・ゲーム―匠千暁シリーズ
ストレート・チェイサーうな∈(゚◎゚)∋またしてもしてやられた
猟死の果て
実況中死うな
ナイフが町に降ってくるうな設定のわりには無難なミステリー
念力密室!―神麻嗣子の超能力事件簿うな
黄金色の祈りうなぎ∈(゚◎゚)∋作者のコンプレックスが突き刺さる名作
夢幻巡礼―神麻嗣子の超能力事件簿うな∈(゚◎゚)∋珍しく悪趣味
依存うな空回りした力作
なつこ、孤島に囚われ。うな森奈津子が変態なのは伝わった
転・送・密・室―神麻嗣子の超能力事件簿うな
謎亭論処―匠千暁の事件簿
夏の夜会うな記憶というものの頼りなさ
異邦人―fusion未読
両性具有迷宮未読
聯愁殺未読
人形幻戯―神麻嗣子の超能力事件簿The・迷走
ファンタズムこれはひどい
リドル・ロマンス―迷宮浪漫うな珍妙ながらスカッと読める
神のロジック・人間のマジック うなぎまさにロジック、まさにマジック
笑う怪獣―ミステリ劇場うなアホかw
黒の貴婦人未読
いつか、ふたりは二匹未読
パズラー 謎と論理のエンタテイメント未読
方舟は冬の国へ作者の願望は伝わった
生贄を抱く夜 ―神麻嗣子の超能力事件簿シリーズ迷走中
腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿未読
フェッティッシュ未読
キス未読





  解体諸因  うな







  完全無欠の名探偵  うな

完全無欠の名探偵 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社





ミステリー。連作形式の長編。
なぜか話している相手の推理が冴えてしまう男の話。
会う人会う人、次から次へと自分の昔年の悩みが解決していき……

まあ、あれだね。狙いはわかるよ。
その形式、おれも好きだよ。素敵だよ。
でも、結果としては、よくできたつまらない力作、といったところでしょうか。
いや、だって実際によくできてるし力作だし、でもつまらなかったんだもん。
こんな俺を、みんな許せよ。






  七回死んだ男  

七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社


ミステリー。長篇。
うん、まあ、そんなたいそうな話じゃないんだけどね。
「あっちのオチかなー」と思っていたら、そっちのオチで「そっちかよ!」と気持ちよく騙されたので、一応うな印つけとくか、みたいな。

設定がね、まあ好きだってのもある。
時々、時間のループにはまってしまう体質の主人公が、ループの間に起こった殺人事件を未然に防ごうとするのだが、どうしても事件が起こってしまう、という話。
で、一周ループするごとに、だんだんと新たな真相がわかってくる、ってあたりがいかにもゲーム的で、そこがよかった。

話がずれるのだが
やっぱやめた。書くのだるくなった。ずれるのやめた。
そんなわけで、悪くない話。ということでしたとさ。






  殺意の集う夜







  人格転移の殺人







  彼女が死んだ夜―匠千暁第一の事件







  麦酒の家の冒険  うな







  死者は黄泉が得る







  瞬間移動死体







  複製症候群  う

複製症候群 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社





長編SFミステリー。

ある日、世界中に現れた謎の物体「ストロー」
直径1キロにも及ぶその円筒形の物体には、触れたもののクローンを製造する機能があった。
ストローの中に閉じ込められたのは四人の生徒と一人の教師、その親が一人。
食料に困った一堂が、尋ねた隣家で見つけたの一つの死体であった……

西澤保彦のSF系シリーズ。
不思議現象の解明をまったくせず、それによって起こった事件にのみ焦点を合わせた、そういうシリーズだが、今回は失敗だな、これ。

結局、かれの作品で重要になるのは人間関係や動機なんだが、この中途半端なジュブナイル的キャラ配置が今回のストーリーのトーンにまったくあっていないし、そのせいかどうかは知らんが、事件が展開するとき、キャラクターの心情がまったく理解できない感じになる。
要するに、不自然で唐突で納得できないし、陳腐だ。

オチも「ん〜〜?」みたいな。
だからまあ、失敗作です。堂々たる失敗作さ。






  仔羊たちの聖夜







  幻惑密室







  スコッチ・ゲーム―匠千暁シリーズ







  ストレート・チェイサー







  猟死の果て







  実況中死







  ナイフが町に降ってくる  うな

ナイフが町に降ってくる (ノン・ノベル)
西澤 保彦
祥伝社





ミステリー。長編。
ある日突然、時間の止まった町に取り残された少女は……

完膚なきまでの佳作。
無理があるが、まあいいでしょう。
ニアピン賞。みたいな感じ。






  念力密室!―神麻嗣子の超能力事件簿







  黄金色の祈り

黄金色の祈り 文春文庫 (文春文庫)
西澤 保彦
文藝春秋


ミステリー。青春小説。
はじめに云っておくと、これは過剰評価だ。無駄な部分は多いしミステリーとしては中途半端だしフェアじゃないしカタストロフもカタルシスもない。
ただ、読んでいて心が動いた。

発言にネタバレが含まれるが、これは一人の凡庸な男の懺悔の物語だ。
自分を世界の主役だと信じ込み、都合の悪い現実にはささいな欺瞞を重ね、ただちんけな自意識を守ることに必死で、人の想いに気づかなかった幼さという罪への懺悔。

書きたいことはいろいろあるのだが、どうもうまい言葉が見つからずに、まとまらない。
ヒーローであることを信じたために、ヒーローであることから遠ざかってしまった男、とでも云えばいいのか。
だが、自分になんらかの物語が降ってくると信じることは、それほどに罪か?
だれだって、場違いな夢くらい見るではないか。
拙いまずいやり方をしてしまうことだって、あるはずだ。

西澤保彦は、だれにでもある浅ましさを、ごまかさずに書ける人だ。
〜〜にさえなればすべてが解決する。そう思いつづけてきてた主人公。
トランペットさえうまくなれば。
オーボエさえできれば。
大学にさえ行けば。
アメリカにさえ行けば。
詩人にさえなれば。
童貞さえ捨てれば。
日本にさえ帰れば。

ときに逃げ、ときに失望し、最後に本気ですがった作家になったときに残ったのは「こんなはずではなかった」という想い。
40を過ぎ自問する「自分が欲しかったもの」

 欲しかったのは……黄金色の夢。
 スポットライトの中で、光の残像をふりまく黄金色のトランペット

だがそれすらも本当の自分ではなかったと気づいたときに、この物語は幕を閉じる。

作者の実体験を豊富に盛り込んだであろうこの作品は、若さと苦さに彩られたかけがえのない作品だ。
ああ、信じてよかったな。と思う。なにを、と聞かれれば、読むことをだ。
だれかが書いているのだ。そして、私が読んでいるのだ。
それは、一つの小さな奇跡だと思う。
 





  夢幻巡礼―神麻嗣子の超能力事件簿  うな∈(゚◎゚)∋

夢幻巡礼 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社





ミステリー。長編。神麻嗣子シリーズ第四弾。
このシリーズ、なんかいまいちだなあ、ほのぼのの狙いが鼻につくなあ、と思っていたが、この作品は良かった。

つうのも、この作品はシリーズの外伝で、要するに「ラスボスができるまで」の話なので、ほのぼのさは無しの方向で、主人公は殺人鬼だし、ストーリーに救いはないし、作中ずっと主人公の偏見と家族への変質的な屈託と異常性欲だのを聞かされるし、陰鬱な話で、いままでのシリーズとのギャップと云ったらない。
そこが良かった。

つうか、殺人鬼の話って、基本的にツボなのね。
殺し方をメインに見せるんじゃなくて、その内面の異常さを描いた作品。
映画や漫画だと、映像がどうしてもグロになるが、小説だと絵面のインパクトよりもじくじくとした心理描写がメインになるから、そこがいい。

要するに、妖怪とかモンスターとして描かれているのがいいんだよな、殺人鬼が。
人に近いけど、人ではない存在。人でなし。
人間としての理性と知性を備えていながら、根本のところにある欠落。
それが人間と化け物の間にある存在としての、ある種の悲しみと、一種のすがすがしさを生む。

つうわけで、なかなか楽しめた作品。
が、単品でみると、オチが弱めだし、伏線の部分が多すぎるとも思う。
つうか、ちゃんと調べてないんだけど、このシリーズって完結してるのか?
そもそもそんな完結とか話の本筋とか、そんなものの存在するシリーズだとは思っていなかったんですが。






  依存  うな

依存 (幻冬舎文庫)
西澤 保彦
幻冬舎





原稿用紙1100枚にもなる長編ミステリ。
なんかあらすじとかちゅーとはんぱにぐにゃぐにゃしてて説明しにくいなあ。

おなじみの大学生四人組シリーズなのね。ボアン、タック、タカチ、ウサコの。
そんで、かれらが教授宅に招かれたのね。
そしたら、教授がいつの間にか糟糠の妻と別れて美しい後妻を迎えていたのね。
そんで、その後妻を見たらタックが青ざめたの。
で、夜中にタックとタカチが抜け出して内緒話してて、ウサコが「絶対にあの二人、できてるもにゃー!」と後をつけていったら、タックが言うのね。
「あの女は僕の母で、ぼくの兄を殺した敵だ」とね。
そんな感じで、話は発端に戻るのね。

まあ、この本筋自体はどうでも良くて、色んな人の色んな依存症が暴かれていく話なのね。
セックス依存症、ストーキング行為依存症、息子依存症、記憶改竄依存症、あとまあ、その他もろもろの色々が暴かれつつ、おなじみ四人組の関係も変化していくもにゃよ?といお話で。

まあ、なんというか、つまんない力作だった。
なんでつまんなかったのかというと、この人、キャラ小説が下手。
区別がつかないうえに魅力的じゃないし、おまけにメインキャラがもう一つの長編シリーズと設定がもろかぶりしていて(ナイーブなおとぼけ青年、クールビューティーな美女、健気な少女、楽天的で前向きな奴、とホントにまったく同じ)、まあぶっちゃけこの作者に真実味をもってかけるのは、男性原理に嫌気がさしてナイーブになってる自己嫌悪青年だけで、ほかのはもう、絵空事チック。語れば語るほど鬱陶しい。

特に今回、まるで魅力を感じないウサコなるキャラの視点を中心に、どうでもいい心理が掘り下げられていて、そこはもう如何ともしがたかった。
いや、真面目に書いているんだよ。この人。
ただほんと、致命的にキャラ小説の才能がないと思うのよ、ぼくは。
だって、このシリーズ六冊くらい読んでるけど、読み終わるとすぐにキャラを忘れて、次の巻読むときに混乱するもの。
そんでもって、よく女性の一人称で話を進めんだけど、これが煮ても焼いても食えない中途半端な代物で。

要するに、おれ、この人はミステリー作家としては一流だと思ってるけど、キャラ小説作家としては二流で、文学家としては三流だと思ってるのね。
だから、以前の作品でもあったけど、人の心の闇に次々と触れていくむ、みたいな作風、無茶があるの。
この人が心理を掘り下げるのは一作で一人が限界。

そんでクーデレ大好きなぼくとしては、このシリーズのタカチもチョーモンインシリーズの警部もこれっぽっちも納得がいかないから、がんばれ。

でもまあホントにねえ、がんばって作ってるしいつもの推理合戦はよくできてるんだけどねえ
本筋がねえ
あとストーカー心理とかねえ

(07/4/29)







  なつこ、孤島に囚われ。  うな

なつこ、孤島に囚われ。 (祥伝社文庫)
西澤 保彦
祥伝社





中篇ミステリー。

ある日、気がつくと孤島に取り残されていたお笑いSM百合小説作家、森奈津子。
孤島といっても、過ごしやすい別荘地。
海はある、ビールもある、カニもある、ワープロもある。
なにひとつ不自由することなく、孤島生活をエンジョイするなつこ。
しかし一週間後、向かいの島にある別荘で死体が発見され……

えーと、この森奈津子って、実在する作家なんですけど、この人って、本当にこういう人なの?
妄想だらけのバイセクシャル、素敵なおねえ様を見れば子猫ちゃんになりきり、かわいい子を見れば女王様になり、美青年を見ればアニキとなってくんずほぐれつ、 たくましい青年を見ればかれに抱かれる美少年を妄想する、そんな性のスクランブル交差点型妄想作家、森奈津子ってなってますけど、そんなに面白い人なら、素敵ですがな。
でも、たしかおれが以前に読んだ森奈津子の本はあんまり面白くなかったような?

主人公のキャラだちのわりには、あんまり面白くない。
シリーズ化する予定の作品のパイロット版、とあとがきで云っているだけにしょうがないのかもしれんが、なーんかこう、物足りないんだよね。
そして、キャラ自体は好きな系統のはずなのに、なーんで好きになれないんでしょうねえ。
西澤保彦の軽いノリの文章って、逆に読みづらいし面白くないんだよねえ。

ただ、まあ、倉阪鬼一郎や牧野修(どちらも実在の作家)のキャラは無駄に立っていたので、竹本健治の「ウロボロス〜」シリーズのように、メタフィクションのシリーズとしてやっていくなら、悪くないかなあ。
どう思う、みんなは?

(06/1/28)






  転・送・密・室―神麻嗣子の超能力事件簿







  謎亭論処―匠千暁の事件簿







  夏の夜会  うな







  異邦人―fusion







  両性具有迷宮







  聯愁殺







  人形幻戯―神麻嗣子の超能力事件簿  う

人形幻戯 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社





ミステリー。短編集。
超能力による犯罪を題材にしたチョーモンインシリーズの第六冊め。

公園で走っている時にテレポートしてきた物体に殺された夫人 ★『不測の死体』
飛び降りたあと、着地する前に念動力で高く上げられてもう一度落ちた死体 ★『追憶する思慕』
ふと気がつくと、記憶には二時間の空白。そして傍らには死体 ★『おもいでの行方』
何故か同僚全員の脳裏に浮かぶ、自殺した同僚の死の瞬間 ★『彼女が輪廻を止める理由』
シャンデリアの支えを燃やした謎の発火現象 ★『人形幻戯』
階段を転げ落ちた死体と外側からかけられたチェーンロック ★『怨の駆動体』


西澤保彦の面白みは、1に設定の面白さ、2に登場人物たちによる推理合戦であると思うのだが、それをぶち壊すのが動機の特殊性だ。
西澤保彦の著作では、よく精神的な欠陥を持っている人間、特に恋愛や性愛に関して妙に偏ったタイプがよく出てくるのだが、これがまったく一般性に欠けるタイプなのに、まったく描写が足りていないことが多い。
長編でやるならば、じわじわと書くことによりそれなりの説得力を生むのに、短編でちゃらっと変な動機を出すせいで、読んでいて微妙な気持ちになることがしきり。
つまり「そんなことで人は殺さねえよ」「そこまで自意識過剰なわけねえだろ」「そんな自罰的だったり責任転嫁しまくったりしねえよ」と思ってしまう。説得力が無いんだから仕方がない。

短編では、もっとその作品の焦点を一つに合わせるべきだろう。
これらの作品は超能力が誰にどのように使われたのか、が楽しみのメインなのであった、なにも「どうして」の部分をそこまで追求するような作品でもなかろう。
短いページ数でサクッと人の心のひだを切り取るような力量は、この人には逆立ちしてもありはしないんだから、割り切って欲しい。長編だとうまくできる時もあるんだから、長編でどうぞ、だ。

そのうえに、このシリーズは可愛いヒロインたちを中心にしたキャラクター小説の側面もあるのだから、そんな性愛的に変な感じでどろどろしたのって、メインキャラクター達と合わないでしょう? イラストともまったく合ってないしさ。
ありていにいって、レギュラー達とゲスト達が同じ世界に住んでいるようには、とても思えない。そこが作品世界を薄っぺらくしている。

まあ、このシリーズ自体、否定しつづけている僕ですから、しょうがないのか。
でも、これだけ続いているんだから、作者の一番人気シリーズなんだろうなあ。微妙。

(07/11/5)







  ファンタズム  う

ファンタズム (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社






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???   ?
   !!
!!! !!!

手癖!
てくセンサーが発動したぞ!
さてはこの作品、手癖で書かれているな!
どう振り絞っても50ページにも満たないような話を一冊に水増しするために、強烈な手癖パワーを使っているな!
負けるか! 手癖などに負けてたまるものか!
むしろおれこそが手癖だ! 手癖の塊だ!

だから、あの、こういう作品は勘弁してくださいお願いします。
すこしだけ真面目に云うと、このテーマで作品として成立させたいなら、ミステリーの道具立てをあまり使わないか、もっと思い切り使いまくるかしないと成り立たないと思う。
それこそ虚無への供物レベルに駆使しないとね。無理無理。
面白くなるテーマじゃないもの。
向いてない向いてない。
もういいじゃないか。締め切りとか、そういうの。
寛大に生きていこうぜ、みんな。

(05/11/30)







  リドル・ロマンス―迷宮浪漫

リドル・ロマンス―迷宮浪漫 (集英社文庫)
西澤 保彦
集英社





ミステリー連作短編集。

どことも知れない場所に居る、誰とも知れない美貌の青年ハーレクイン。
魔法使いとも悪魔とも呼ばれる彼は、代価と引き換えに依頼者の望みをかなえてくれるという。その代価とは、依頼者の心の一部だという……
今日もどこからともなく、時間も空間も越えて、ハーレクインのもとに依頼者が訪れる……

理恵はあの時、本来の相手と結婚式を挙げていた人生を望むが…… ★『トランス・ウーマン』
夫を殺したのは自分なのか?自身の記憶を疑う小百合だが…… ★『イリュージョン・レイディ』
夫のため、今すぐ体重を半分にしたいという霧絵の心理とは ★『マティエリアル・ガール』
記憶喪失の咲に、美しい友人が自分たちは恋人だと迫ってくるが…… ★『イマジナリィ・ブライド』
いじめで殺された友人を蘇られて欲しいと願う裕太だったが…… ★『アモルファス・ドーター』
のちに作家となる男と結婚していたらどうなっていたのか…… ★『クロッシング・ミストレス』
時折、意味もなく自殺未遂を起こす妹の心理とは…… ★『スーサイダルシスター』
息子と親友が不倫の果てに死んでしまい…… ★『アクト・オブ・ウーマン』

なんかこう、記憶を自在に引き出し、過去の分岐点に精神をとばすことができるというなんでもありな能力の持ち主が探偵役なので、推理要素としてはなんでもありだが、そこがよかった。
つうか過去を遡ったり、別の人生を見せることによって、自己欺瞞を自ら悟らせる、という手法なので、推理ともまたちがうし。
とにかくもう一つの人生を見せる〜とかいう手法が、手塚治虫とか藤子FのSFみたいでなつかし面白かったし、そこをミステリーっぽく仕上げているのも新鮮味があってよかった。
各テーマのわりにあっさり風味で、無理にコメディタッチにしていないところも良かった。
このくらいのテンションが一番この人にあっていると思うなあ

(08/6/11)







  神のロジック・人間のマジック   うなぎ







  笑う怪獣―ミステリ劇場  うな

笑う怪獣 ミステリ劇場 (新潮文庫)
西澤 保彦
新潮社





ミステリー短編集。

ナンパ旅行で出かけた孤島に現われたのは、なんと怪獣 ★『怪獣は孤島に笑う』
ナンパ目的で山の別荘を訪ねたら、やっぱり出てきた怪獣 ★『怪獣は高原を転ぶ』
さみしいイブにナンパしたのは大食いの女の子。彼女はまさか…… ★『聖夜の宇宙人』
もてない友人にできた彼女はなんだか怪しい美女 ★『通りすがりの改造人間』
マンションに軟禁された友人。そこへまたも現る怪獣 ★『怪獣は密室に踊る』
気になる書店員の外人さんと、通り魔 ★『書店、ときどき怪人』
女子高生の幽霊が語る、自分の殺された理由 ★『女子高生幽霊奇譚』

ふざけてる。
これでミステリーだと云うのがふざけている。
そこがよかった。
なんかこう、どうでもいいような部分が一箇所でも伏線として機能していれば、それでミステリーと呼んでいいじゃない、とでもいいたげな吹っ切れ方が素晴らしい。
どれもこれもふっきれたネタばかりだが、特に「書店、ときどき怪人」は完全にふりきっている。どうしようもない。
ふざけたミステリをやるなら、これくらいをした方が良いと思うお。

(08/5/20)







  黒の貴婦人







  いつか、ふたりは二匹







  パズラー 謎と論理のエンタテイメント







  方舟は冬の国へ  う

方舟は冬の国へ (光文社文庫)
西澤 保彦
光文社





長編ミステリー。
決して出来のいい作品ではないなあ。
設定はわるくないんだが、主人公たちが馬鹿すぎる気がするし、環境に順応しすぎだとも思う。
ミステリーとしてみたとき、中盤の盛り上がりに欠けるし、最後に一気に設定を説明しすぎ。この作者のアベレージを考えると出来としてはいまいち。

んが、嫌いにはなれない。
それはこの作者なりのロマンを感じるからだ。
あまり共感できるロマンではないがそこにロマンがある限り、嫌いにはなれない。 結局、この人っていい奴なんだよな、ほんとに。






  生贄を抱く夜  う

生贄を抱く夜 (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社





ミステリー短編集。
超能力による事件を扱った『チョーモンイン』シリーズ第七弾。
感想としては前作と同じ。
納得のいかない変な動機がまったく釈然としないし、性愛に関する部分が妙にクローズアップされてて気持ち悪い。ギャグは滑っているし、とにかく女キャラの一人称の部分がもう見てらんない。どういう観点でも見てらんない。今作ではなぜかビッチだらけでなお見てらんない。
このシリーズは全体的に見てらんないよなあ。それでも最初はまだマシだったんだが、がんがん悪化している。

(07/11/17)







  タイトル







  タイトル










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