タイトル | 評価 | 一言メモ |
十三階段 | うな | 丁寧で、そして退屈 |
長編ミステリ。乱歩賞作品。 ある死刑囚の処刑が実行されようとしている。 しかし彼には犯行時の記憶がなく、冤罪の疑いがある。犯行の晩に彼の記憶にあったのは、どことも知れない階段をのぼっていたことだけ。 名も知らぬ依頼人により、彼の冤罪を晴らすために雇われた元刑務官の南郷は、過剰防衛により喧嘩相手を殺した前科のある少年とともに、調査を開始するのだが…… すんげー退屈。 丁寧なんだよね、すごく。死刑制度とかの説明が丁寧だし、刑務官の職務とか、前科もちの心情とか、そういったところがものすごく丁寧に書いてある。 けどさ、仕事で死刑執行して、それで「おれは人殺しだ」とか何十年も悩んだりとか、もう全然感情移入できない。凶悪犯だとわかってて、法に照らされて死刑になって、それで悩む必要がどこにあるよ? と酷薄にも思ってしまう。 だからそんな悩みを延々と吐露しつづける中盤の退屈さときたら半端ない。外道は死ねばいい。それだけですよ、ほんと。 で、380P中、300Pくらい退屈だなー、眠いなー、やっぱ社会派ミステリは向いてないなー、と思いながら読んでたんだが、終盤の60Pくらい? ここは面白い。 ああ、あれもこれもそれも、全部つながってくるわけか! と素直に感心してしまった。 なるほどなー、返す返すも丁寧な作品だ。 しかしオチは微妙感たっぷりで、おいおい、すっきりさせろよバカ! と思ってしまった。だから社会派は嫌なんだよ! 解説が宮部みゆきで激誉めしてて、なんか笑った。 まあね、宮部先生の小説も、うまいわりには七割退屈だからね、うん。 (07/12/21) |