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滝本竜彦

タイトル評価一言メモ
ネガティブハッピー・チェーンソーエッジうざい
超人計画うなギガウザイ
NHKへようこそ!テラウザイ





  ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ  う

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)
滝本 竜彦
角川書店





なんかラノベみたいな一般書みたいな中途半端なの。

あらすじ。
なんか退屈ー、とか思ってたら、美少女高校生がチェーンソーをもった怪人と戦ってたので、面白そうだったから手伝ったよ。毎晩毎晩戦ってて、なんだか楽しくていい感じだよ。でもおれはそろそろ転校することになったよ、どうしよう。

えーと……
おかしいな、おれ、いつの間に『KANON』のノベライズなんて読んでたのかな?
『KANON』の舞篇……ですよね、このストーリー。
謎の美少女が夜毎化け物と戦ってたと思ったら、その化け物は実は超能力者だった少女が念動力で生み出していたもので、戦いはトラウマによるマッチポンプでした、みたいな話と、まあほぼ同じですよね。

えーと、んーと。
多分。だけど。
いわゆる、この人ってハルキチルドレンに分類されてるんですよね?たぶん
乙一、舞城王太郎、滝沢竜彦、西尾維新、この辺の人たち、全部ハルキチルドレン扱いでいいかんですよね?ハルキチルドレンってよく知らないんですけど(どれくらい知らないかというと、施川ユウキのブログではじめてその単語を見て、以後一度も目にしていないくらいに知らない)なんとなくニュアンス的にそんな気がしたもので。

共通点的にはさ、なんか唐突な設定を説明なしにもってきて、そのまま押し通すとちころというか、リアリティのなさがむしろその作品世界の中ではリアリティというか、「そういう設定」で押し通したほうが読むほうも楽だということを知っているというか、とにかくそんな感じ。

で、そん中でこの人のさ、なんつうかさ。
要するに、ギャルゲーなんですよね。
文体も、ストーリーも、そのご都合主義も、釈然としない唐突な主人公の熱さも。
だから、さ、それが悪いってわけじゃないけども悪いわボケ。
知るか。
おまえの引きこもりの理由も美少女に惚れられちゃうという浪漫も事件が欲しいなーなんていう自分勝手もとにかくキモイ。キモイんだよ、君。知るかとしかいいようがない。安易だし。

うりゃー

(07/6/27)






  超人計画  うな

超人計画 (角川文庫)
滝本 竜彦
角川書店





ヒキコモリのダメ人間作家、滝本竜彦が、どうにかして自分を奮起してスランプを脱出しようと過去のトラウマ暴露やらハゲのカミングアウトやらエロ漫画コレクション焼却やらをする様を、脳内彼女レイと共に語るエッセイ。

いやまあ、なんだろう。
同い年だしさ、誕生日も四日違いだしさ、「『同級生』の田中美沙に恋した」とか「授業中にやけくそになって『ゆんゆんパラダイス』を読んだ」とか、いちいち出てくる情けない固有名詞を100%理解しちゃっている自分がいやになるけどさ、でも、なんでだろう、半ヒキコモリで万年スランプで人付き合いがダメでもてなくてエロゲーマーでネット依存症で、という諸条件は、俺が激しく感情移入してしかるべきのような気がするんだが、どうにもまったくもってピンと来ない。

脳内彼女か? 脳内彼女がいけないのか? いや、脳内彼女が作者を語るという手法は、なかなかにふざけていて面白いとは思うし、ようやるなあと感心するけど。 でも、もてない二次コンって脳内彼女つくらないとダメなの? おれ、いないんですけど。
よくネットとかで脳内彼女とか俺の嫁とか(まあ八割は冗談なんだろうけど)聞くたびに、ちっともその感覚が理解できないで困るんですよ。
エロゲーとかやってて、キャラと恋人気分にならなきゃだめなの? そうなの? 
それができないから俺は完全なエロゲーマーになれないの? だれかちょうだい、そういう技能!
ということを切実に考えてしまう感じであった。

いや、ま、オーバーな表現とうっとうしい自意識が目立つエッセイではあったけど、面白かったです。少なくとも、小説よりは面白かった。
エージェントが「21世紀の太宰治」というわけわからんキャッチコピーをやたら推進するくだりは、なんかありえそうで笑った。
ただ、このエッセイがきっかけで結婚したというのがむかつくので死ね。でも本当は俺こそ死ね。

(07/11/5)







  NHKにようこそ!  う

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NHKにようこそ! (角川文庫)
滝本 竜彦
角川書店





長編ひきこもり小説。

大学を中退して四年目、ひきこもり生活にみがきのかかっていた主人公は合法ドラッグをキメキメ、ラリッて自己嫌悪に陥り、ふと目にした「NHK」という単語こそ「日本ヒキコモリ協会」の略であり、自分はNHKの陰謀によりひきこもるように仕向けられているのだと確信した。
隣の部屋に越してきたアニメオタクは高校の後輩で、二人はラリッた頭で充足願望丸出しのエロゲー製作に励み、一方でロリコンに目覚め近所の小学生を激写したりしながら露悪趣味に浸り自己嫌悪スパイラルに陥っていた。
そんな中、主人公の前にあらわれた宗教少女の岬は「あなたは私のプロジェクトに選ばれました」と奇妙な契約書を差し出してくるのだった。

わからん……
完全にエロゲー文体だ、ってのはわかる。
プライドが邪魔してなにもできない人間だってのもわかる。
「結局可愛い子とステディになりたらそれでハッピーってこと?」ってのもわかる。
ただ、なんつうかこう、友達とそんだけ仲良く話せるんならひきこもる必要ないだろ、とか思う。それにいちいちうるさい。無内容な文が多すぎる。とばし読みしてくれって信号を常に出し続けてるのはどうなの?

自分の些細な不幸はうるさいくらいに拡大解釈して告げられているのに、ほかの登場人物の不幸は上っ面って感じでいかにも創作ですって感じがあり、そこの落差がひどいんだよな。
そもそも、このあとに書いたエッセイ『超人計画』となにも違いがないし、読むのはどちらかで十分としかいいようがない。

なんなんだろうなー。
おれは、もっとこの人の感性に共感してしかるべきなような気がするのに、なんだってこうも共感できないのか、むしろ疑問に思う。
攻撃性? 攻撃性なのかな?
ネットとかで散見するに、男オタクって無性に攻撃性が高い人種いるしな。
うーん足りないのは攻撃性か? おれに足りないのははた迷惑なほどの攻撃性なのか?
それがあればうまくいくのか? どうなんだ?
まあ、自己充足してるってよく思われるしな。
うかつに近づくと傷つけられそうって思われてるしな。
よそに対する攻撃性は低いくせに、自己防衛が激しいっていう、およそ他人に好かれる事も嫌われることもすくない、影響力のない人格のあり方がいけないんだろうな。それが創作もサイトもなにもかもダメにしているんだな。母性本能をくすぐらないからいけないんだ。よーし、母性本能をくすぐるダメ人間になるぞー!

と、作品となーんも関係ないことを考えるような小説だった。
うーんと、とにかく文がすかすかで、せっかくところどころに散見されるいい部分が流れていってしまっているよね。一文の重みがない。
長さを三分の一にして、まあギリギリ。本当は四分の一以下にして短編に仕上げるべき作品なんじゃないのかな?
漫画化されてそれがより迷走したらしいけど、まーねー、タイトルのキャッチーさだけでなんとかしちゃった作品って感じ。それだけタイトルには力があるってことだけど。
ただ、三冊読んで全部おんなじような作品で成長も見られなくて作者は小金が入ってひきこもってて、とまるで先に期待がもてない感じで、うーん、せっかく機会を得てるんだからもっとふんばっていい作品書いてみろよ、と云いたい。ぜーんぜんみがきあげられてないし鬱陶しいけど、おいしい立ち位置にいるんだからさあ。

(08/5/17)










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