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山田宗樹

タイトル評価一言メモ
嫌われ松子の一生 上・下うなぎしょっぱすぎて切ねえ





  嫌われ松子の一生 上・下  うなぎ

嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)
山田 宗樹
幻冬舎





運命の波に翻弄され続けた女性の人生の軌跡を描く愛と感動のミステリ巨編!
……って書いてあるけど、これミステリなん?

あらすじ
田舎の中学で教師をしていた川尻松子は、ある事件をきっかけに学校をクビ、それが原因で実家を飛び出し、転落人生を送った末に、謎の死を遂げる。
死んでからはじめて松子の存在を知った彼女の甥、川尻笙は事件を追ううちに、とてつもない苦難に満ちた彼女の人生を知っていくのであった。

せ、切ない……
どんだけ切ないんだよ……
どこまで行っても救いがなく、とてつもない虚無を覗きこんだような陰鬱な気持ちになった。なのにこの物語には読者を否応もなくひきつける力があり、気がつけば上下巻合わせて七百ページという、少なからぬ文量を一気に読破してしまった。
要するに名作だ。
ありとあらゆる場所で不吉さが見え隠れする松子の人生に対し、救われてくれ、救われてくれと思いながら読み進め、しかし冒頭において死を告げられている松子の人生は苦難と苦痛の一言。
人間の無力さ、運命の過酷さ、ありふれた言葉ではあるが、そういったものをまざまざと感じずにはいられない。人生とは怖く、恐ろしい。

にも関わらず、この作品は、泣けるし、希望を感じる。
松子の晩年のすさんだ暮らし、そして死には胸が締めつけられ、同時に強く「生きていかなくちゃ」と思わせるものがある。
ひとえに、この物語の登場人物が、みんな惨めで悲しく、それゆえに確かに生きているからであろう。
裏切るもの、利用するもの、騙すもの、見捨てるもの、様々な人間が松子の前に現れ彼女の不幸に拍車をかけるのだが、悪人はいない。みんなそうするしかなかったのだと納得させるものがある。たから泣ける。
ことに、自分を待ち続けてくれた松子の愛に脅えて逃げる龍洋一の姿や、晩年、すべての人に対して理不尽な怒りをぶつける松子の姿は涙なしには見られない。その怒りが理不尽であれはあるほど、切なく苦しい。

映画の広告のせいかタイトルのせいか、なぜかいじわるばあさん的な話をイメージしていたので、かなり予想外に重い話でとてもよかった。
気が向いた方は是非。
しかしこれ、あれだね。ダイエードラマだね。この不幸のオンパレード。リアリティはあるけどね。

映画も是非観てみよう、と思ってビデオ屋に行ったのだがもう一度松子の転落ぶりに付き合うのかと思うとげんなりして棚に戻した
まあ、いずれ観よう。映画もいたく評判いいし。

(07/3/17)










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