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栗本薫 1991年


  終わりのないラブソング1、2  うなぎ

終わりのないラブソング〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
栗本 薫
角川書店




長編やおい小説。
暴走族の頭にオンナにされ、道を踏み外してしまった少年、村瀬双葉。
彼は同級生の委員長・麻生勇介にひそかな片思いをしていたが、それは決して告げられることのない思いであった。
そしてある日、ついに暴走族が検挙され、双葉は少年院に入ることに。
そこで運命の相手、竜一と出会うのであった。

これね〜。
美少年が少年院に入れられて掘られまくり、という、その基本設定だけでおなかいっぱいというか、笑えるというか……ぶっちゃけ大笑いですよね(爆)
最初は小説道場でのお手本として第1話が書かれたこの作品、挿絵の吉田秋生先生が「少年院萌え」の人であったがために、萌えトークが弾んでしまい、気がついたら連載開始、大長編へ。
やめときゃ〜よかったのに、第一話で。

一話目はね、わりと面白いのよ。いろんな意味でのやりすぎ具合に目をつぶれば。
笑いをこらえることが出来るなら、よくあるけれどレベルの高いJUNEです。
双葉のやさぐれた口調は美少年しちゃってるし、覚めた抱かれ方も萌えポイントか。
勇介との距離に切なさがあるし、勇介がノンケなのもいい。
諦念と熱情の葛藤がキャラに命を与えている。
ラストも決まっている。展開早いし。

で、二話目以降なんだが、これもまあ、笑ってしまうところを抑えれば面白い。
サブキャラもうまく書き分けているし、ことに二十歳過ぎても少年院にいる長老・清正はいい。
彼が院を出ていくシーンは感動的だ。

その清正の退院シーンも含め、二巻ラストで綺麗にまとまっている。

村瀬双葉ほどの大馬鹿野郎は見たことがない」

この締めの一言の切れ味の良さ。
この二巻までなら、間違いなくJUNE史上に残る不朽の名作である。

問題点としては、相方である竜一のキャラがベタ過ぎてどうでもいいのと、竜一と付き合いだしてから双葉がおめめなオカマちゃんに成り下がってしまったこと、さらには切ない片思いをしていた相手である勇介のことを、すっごくどうでもいいことのように扱っていること。
そりゃ、まあ、ね。
いまの彼氏がいれば、女ってわりと、昔の彼氏に冷たかったりもするよ。
優しくしてるとややこしくなったりもするしね。

でも、双葉くんさあ、そりゃないだろうよ。
勝手に片想いしてノンケの優等生の人生を惑わせて、彼からの手紙を大事な宝物のようにして、オトコができたらハイそれまでよ、って、いやな奴ですよ、ここだけ拾うと。

ま、この二間の時点では、その辺の感情の変化を一応、ストーリーにも絡めていたし、直接、相手が登場してこなかったから、あんまり気にならなかったのも事実だけど、これが三巻以降にえらい気になるというか鬱陶しくなるというか。
ま、その辺は三巻以降の項で語る。

ともかく、古臭いJUNEが好きな人で、ベタなのが許せる人なら、この二巻までは読んで損はない。
男が読むには、ちと酷ですけどね、この女々しさ。
本当に二巻でやめるのが賢明ですよ。忠告したからね。






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中島 梓
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