大長編やおい。 最終巻の書き下ろし『エターナル』と後に出た特別篇『TOMMOROW』 ★『エターナル』 一年後、あいかわらずラブラブだけど、ちょっと鬱な気分の二葉くん。 「永久不変の物語などあるはずもないから」とラルクみたいなことを呟きながら、 今日も旦那の帰りを待ってぼんやりニートしてます。 ある日、竜一の兄貴分に挨拶に行きました。 そしたら兄貴分がアパートにほのぼのレイプしに来ました。 「こいつは竜も承知なんだよ」二葉くんショック。 もう別れるしか、と思いながら、レイプされてぐったりしていると、そこに現れた竜一くんが「そうだ、一緒に死のう」と閃きます。 最後にファイト一発しながら、二葉くんは首をしめられてイっちゃいます。 で、全部夢でした。めでたしめでたし ★『TOMMOROW』 さらに一年後、あいかわらずニートしてるけど、無趣味なのでヒマです。 友達もいないので本当にヒマです。 なんか近所のキモヲタにもストーキングされてうんざりです。 そしたら隣に画家が引っ越してきたので友達になりました。 ちなみに画家のキャラは伊集院大介ともろかぶりしまくっていて、大介が変装しているんじゃないかと疑うほどですが、別人だったのがすごく意外でした。 大介っつうか、要するに今岡清くんなんだろうけど。 さておき、友達もできて二葉くんはハッピーハッピー。夜の生活も充実してるし、これはもう昔の友達にのろけるしか! 奈々やゲイバーのママに電話して「よし、パーティーだ!」ということに。 浮かれて部屋に戻ったらキモヲタにレイプされそうになったけど、なんか大介もどきと竜一が助けに来てくれた無事でした。 そんなわけでパーティーをしたら、なんか清正はアル中になっていたけど、なんかまあ、いっか。おしまい。 『エターナル』の方、これがまずくだらない。 なにがくだらないって「心中萌えだから心中しないとね! でもバッドエンドはちょっと」と思った栗本先生。 「そうだ、夢オチだ!」とひらめきます。ひらめくな。そのヒラメキやめろ。 だから、これはどこからどう見ても栗本先生の心中萌えのなんちゃって作品です。 無内容にもほどがある。 で『TOMMOROW』 一冊丸々かけて本当にもう無内容。 こんなの五十枚で仕上げろ、五十枚で。 この作品は、文章、展開、キャラ、すべてがいいかげんで現在の栗本薫の悪いところが実に完璧に出ている。本当にもう、どうしようもない。 わざわざ書き下ろしで余計とうしようもない作品にして、一体なにがしたかったのか。 なにも考えてなかったんだろうなあ。 だから、もう、なんというかね、実に駄作です。 後半に行けば行くほど駄作です。 だからさ、云ったじゃないの。 二巻でやめとけって。 五巻以降はマジ黒歴史。 エターナル以降は黒すぎて己の心の闇を覗いてしまうよ。 いやあ、今回通して読んでわかったのはね、 やっぱ栗本先生はやおいを書かないほうがいい。 やおいを書けば書くほど、作家として、いやさ人間としてのバランス感覚が失われてさ、すべてがノリの佃煮みたいなぐっちょんぐっちょんのぬめぬめした作品に、 華麗にエヴォリーションしていっちゃうわけですよ。 だからやおいを書いちゃいけません。いいですね。 どうしても書きたいなら、やおいは一冊400枚まで。 それ以上は書かないこと。続編もダメ。 これを約束して欲しいね、ぼくは。 あと、栗本先生とは関係ないっちゃないけどさ、挿絵の吉田秋生先生。 彼女もまた、この連載中に絵が劣化したよなー。 作品が劣化していくのと同速度で劣化してんだもんな。 八巻やTOMMOROWの挿絵はひどい。もう吉田秋生の良さが残っちゃいない。 まあ、彼女は『バナナフィッシュ』のせいで独自に劣化していったんだけどね。 それにしてもこれはひどいよ。 線がダメになっただけじゃなくて、コマ割りとか空間の使い方とか「それってセンスの問題じゃないの?」というところまで劣化しているのがすごい。 もともと抜群のセンスがあるはずの人だったのに、なぜ? ま、栗本先生も抜群の文章力を持っていたはずなのにこうなったわけだしな…… ホント、秋生と薫はよく似ているぜ…… 秋生も昔はあんなに面白かったのになー。 バナナフィッシュさえさっさと終わらせていればなー あれもおわらぶと同じくらいどうでもいい終わり方したし(おわらぶよりかははるかにマシか) アッシュの相方の魅力がさっぱりわからなかったし(秋生が野村宏伸好きってのは伝わった) なんかどうでもいい後日談の外伝がついていたし。 いや、おわらぶとバナナフィッシュは実によく似ていらっしゃる。 どうにかしてくれ、この二人。 あんなに輝ける若き俊才だったのに。 と、泣き言を云ってもどうしようもないわけで。 いやあ、あれだね、やっぱ十年間も読まないでいたのは正解だったね。 さすか俺。すばらしい判断力。もうどうにでもして。 終わる。
大正浪漫シリーズ第二弾。 大正の女学校でレズ。以上。 『パロスの剣』では、中世ヨーロッパ風の宮廷でレズだったが、それの大正版。 それだけ。最終的に心中というところもまったく同じ。手癖作品です。 もう、んっごくくだらないです。 何度でも重ねていいますが、栗本先生のレズには実感がない。 ちっとも伝わってこない。なんでレズなのさ? なんつうかさ「レズっていいよね」とぼくに思わせて欲しいよ。 以前にも書いた気がするけど、この作品でしたね、ぼくが「あれ? 栗本先生わりとつまらない?」と思うきっかけになったのは。 無内容にもほどがある。レズ作品ならとりあえず読みたいという方以外、読まないでよろしい。
なんか知らんが、この時期あたりから、栗本先生はストレートエロを追求しはじめたみたいで、おにゃのこがあっちではめられこっちではめられ、あっふんあっふん大変なことになっていて、結論として「いいぜベイベー。グランドクロスはまったく地獄だぜ」みたいな感じで、ストーリーらしきものがあるの?ないの? うーん、今回はぼくは簡単だと思っていた。 だって小説は物語だからね。ふー、びっくりした。 そんな感じ。 でも、別につまらなくないです。わりと文章だけで読ませます。 でも詠まない方がいいと思います。
ストーカーに狙われて大変ですよ、という話。 これ、一冊もかけてやる話か? というのがまず第一(何回も同じこと云ってるな、おれ) で、肝心のストーカーの心理。 これも化け物みたいな感じで、共感も出来なければ恐ろしくもない。 なにがしたいのかわからない。 元来、栗本薫という作家は文章からにじみ出る情念で、わけもなく読者を共感の渦にひきずりこむという荒業、神通力をもって読ませていたわけで、今作も文章の力が健在ならばけっこう面白かったかもしれないが、なにぶんこの時期にはけっこうアレがそれしちゃってて、ストーリーの粗がもろに読者に感じ取れちゃうのです。 うーん、ストーカーと栗本薫って、ものすごく相性がいいような気がするのに、なんだってうまくいかなかったんでしょうね。 多分、被害者の視点で書いてしまったからいけないんだね。 ストーカー本人の視点でねちっこく書けば、栗本先生にかなう人間なんてあんまりいないのに。だって生粋のストーカー体質だものね。 自覚症状がなかったのかな? ストーカー体質だという。 へーんなはなーし。 あ、この作品、タイトルは好きです。ストーカーものでこのタイトルっていうのが、うまいと思った。
ミステリー。ミステリーなのか? 伊集院大介もの。 あらすじ 『猫目石』事件で恋人を失ったあと自暴自棄な生活を送っていた『ぼくら』シリーズの主人公・栗本薫くん。 かれがある日ひっかけたのは、しごく陰気な女だった。 彼女は初対面にも等しいかれに「結婚して欲しい」と頼む。 薫は面白半分でその頼みを承諾するのであったが、それが事件の始まりであった。 わりと長めの話だけど、全編これ、マスコミへの恨み節。 ストーリー自体は嫌いじゃないんだよね。 激しい愛に傷ついた者たちが、穏やかな愛を見出していくのとかさ、悪くないと思うよ。 ゆるやかに育てていく愛も世の中はあるさ。 でもね、やっぱ恨み節がくどくてさあ。 栗本先生、いったい何年不倫騒動のことを根に持っているのだと。 そんなにマスコミを人非人みたいに扱うのも、それはそれで読んでて居心地悪いですよ。 まあ、笑いながら読んでたけどさ、ぼくは。 これ、長さが三分の一だったら、なかなかいい話でまとまったと思うんだな。 どっちみちミステリーにゃならんけどさ。 しかし、ここまで来ると、伊集院大介は探偵じゃなくて愚痴聞いてくれるだけの変なおっさんだよな。 |