タイトル | 評価 | 一言メモ |
十三の黒い椅子 | うな | 試みはすごい短編集 |
内宇宙への旅 | うな | 滅多にないほどものすごい無駄な努力 |
死の影 | う | 普通に考えてつまらないホラー |
長編ミステリ。 実験作にして失敗作、ですな。 構成は面白い。 中身が架空のアンソロジーになっていて、すべて架空の作品を仕上げている。 さらにその作品群をとりまく作家たちのメール、日記、掲示板のやり取りが間に挿入され、一冊のアンソロジーとそれにまつわる事件に関する長編、という形になっている。 ネタバレバレでなお云うなら、アンソロジーの作中作が入っている長編、というかたちの作中作が入っている長編、というかたちの作中作が入っている……×α…… つまり幾重の入れ子構造になっているメタ小説だ。 形式自体は嫌いじゃないんだけどな。 架空の作家ごとに文体を変え、作中作をそれらしく見せようとしているのはわかるんだが、どうにもこの文体の変化がな……。 まずくはない。それなりにできてはいる。が、書けるというだけで物にはしていないと云ったところか。 また、どの文章も根本的に、才に頼み文に溺れている感が漂っている。つまり作者が一人で悦に入っている。 作中にちりばめられた暗号の数々も、まあよくやったものだとは思うが、で、だからどうしたの?といいたくなるようなもので、そもそも暗号なんかを施した時点で、「読者の現実感を揺さぶる」というメタ小説の本来的な楽しみが薄くなるし、結果、本来あるべき、本を閉じた後の「現実が虚構のつながりであるような感覚」が一切なく、まあごにゃごにゃしてうまく云えないので簡単にまとめると、形式だけは見所はあるが、中身はドグラマグラのデッドコピーにしかならなかった作品、と云う感じ。 こういう作品を連載でやろうってのがそもそもの間違い。 失敗するべくして失敗した、ということで。
長編……いや、中篇かな? ミステリアス・ホラーSFだそうです。 この作者の本を読むのは二冊目だが、とにかくたしかな力量と雑学の広さ深さ、そして無意味としか思えない文章遊びと企画だおれ感に満ちあふれている。 私小説風の書き方はそれなりに読みやすく虚実の交え方も絶妙でよくできていると思う。 そのうえで文章にしこんだネタは不自然でないかたちでちゃんともりこまれている。 問題は、そこまでの労力をさく必然性がまったく感じられないことで、この辺が感心はしても「へー、あっそ」で終わってしまう要因であり、つまりは物語全体が「だからどうした」テイストに包まれてしまう要因かと。 オチの部分、意味がわからない。 なにか意味が隠されているのだろうとじっくり文を追い、深読みしてもさっぱりわからない。おれがバカだからであろうか?だとしたらむかつくことではあるし、意味がないのならやはりむかつくことではある。 この作者の普通の小説を読んでみんことにはなんとも云えぬのう。 まあ、変な話だった、と。 ちなみにネタバレでこの作品の文章に仕込まれていたことを云うと。 各ページの隅にある文字が必ず「宇」「宙」「人」の三文字の繰り返しになっているというもの。 このくだらない仕込みを一冊丸々つづけるのは、本当に凄い。凄い労力の無駄遣いだ。
ホラー長編。 引っ越してきたマンションにお化けがいた。 つ、つまんねーーーーー!! たとえうっかりでも、こんなつまらん作品書くなよ…… |